「奨学金を借りなければ大学に行けない」
「奨学金を返済しないといけないので結婚できない」
現代の若者が直面する奨学金問題は、個人的な問題を超えて社会全体の危機となっています。日本学生支援機構(JASSO)の統計によると、大学生の約2.7人に1人が奨学金を利用しており、その平均返済総額は300万円を超えている。
社会人になってから奨学金の返済が始まる….
奨学金返済のために少子化の加速要因となっている現実をシラベテミタ!
奨学金利用の拡大と深刻化する返済負担
利用者増加の背景
大学進学率が50%を超える現代において、奨学金は多くの家庭にとって必要不可欠な制度となっている。しかし、その実態は「学習支援」ではなく「教育ローン」に近い。
現在の奨学金利用状況
- 大学生の利用率: 約37%(2.7人に1人)
- 平均返済総額: 約300万円
- 返済者の1割: 500万円以上の債務
- 返済期間: 平均15~20年間
返済負担の重さ
300万円の奨学金を年利0.5%で借りた場合、毎月の返済額は約17,000円、総返済期間は約15年に及ぶ。
これは22歳で社会人になった若者が37歳まで継続して返済し続けることを意味している。さらに深刻なのは、この返済が新社会人の手取り給与の10-15%に相当することである。初任給が22万円程度の場合、手取りは約18万円となり、そこから奨学金返済17,000円を差し引くと可処分所得は大幅に減少する。
結婚への深刻な影響
奨学金が結婚に影響する現実
労働者福祉中央協議会が実施した調査(2022年、対象:45歳以下の奨学金利用者)では、奨学金返済の生活設計への影響について衝撃的な結果が明らかになった
生活設計への影響率
- 結婚: 37.5%
- 出産: 31.1%
- 子育て: 31.8%
- 持ち家取得: 32.8%
この数字は、奨学金返済が結婚に最も深刻な影響を与えていることを明確に示している。
結婚できない具体的要因
1. 経済的負担による結婚費用の捻出困難
結婚には平均400-500万円の費用が必要とされるが、奨学金返済を抱える若者にとってこの金額の捻出は極めて困難。結婚式、新婚旅行、新生活の準備費用など、一度に大きな出費が必要な結婚は、毎月17,000円の固定費を抱える若者には高いハードルとなる。
2. パートナーや相手家族からの懸念
奨学金は多くの人が利用している制度であるものの、実際は「借金」であることに変わりはない。結婚相手やその家族から「借金を抱えた相手との結婚」として懸念されるケースが増加している。
特に、22歳で大学を卒業してから少なくとも30歳を超える年齢まで返済が続くため、結婚適齢期と返済期間が完全に重複してしまう。
3. 世帯形成への阻害要因
夫婦ともに奨学金返済を抱えるケースでは、世帯の可処分所得がさらに大幅に削減される。月34,000円(17,000円×2人)の固定費は、新婚家庭の家計を直撃し、生活水準の向上を阻害する。
出産・子育てへの致命的影響
出産費用の捻出困難
経済的問題が全てではないが、「結婚したいのにできない」という不本意な未婚が4割以上となっている。
少なくとも半分は経済問題という現実は、出産・子育てにも同様に当てはまる。
出産には以下の費用が必要となる:
- 出産費用: 約50万円
- 育児用品: 約30-50万円
- 産休・育休中の収入減少: 月10-20万円
奨学金返済17,000円を抱える家庭では、これらの費用捻出が極めて困難となる。
産休・育休中の返済継続負担
産前休業・産後休業および育児休業により、無収入・低収入のため、返還困難な方に対する猶予制度は存在するものの、多くの利用者がこの制度の存在を知らない。結果として、収入が減少する出産・育児期間中も返済を継続せざるを得ず、家計をさらに圧迫している。
結婚後の生活苦
夫婦ともに奨学金返済を抱えるケース
現在、大学生の約4割が奨学金を利用している状況下では、夫婦ともに奨学金返済を抱えるケースが急増している。
この「ダブル返済」家庭では以下の深刻な問題が発生している。
月々の固定費負担
- 夫の奨学金返済: 17,000円
- 妻の奨学金返済: 17,000円
- 合計: 34,000円/月
年収300万円世帯の場合の家計圧迫度
- 手取り年収: 約240万円(月20万円)
- 奨学金返済: 34,000円(手取りの17%)
- 残り可処分所得: 166,000円
この166,000円で家賃、食費、光熱費、その他生活費を賄う必要があり、貯蓄や娯楽費はほぼ確保できない状況となる。
住宅購入への影響
結婚後のマイホーム購入も、奨学金返済により大幅に制約される。住宅ローンの審査では、奨学金返済も債務として計算されるため:
- 借入可能額の大幅減少
- 審査通過の困難化
- 頭金準備期間の長期化
月34,000円の奨学金返済がある場合、住宅ローンの借入可能額は約1,000万円以上減少するとされており、希望する住宅の購入が事実上不可能となる。
ライフプランニングの破綻
人生設計の大幅な遅れ
奨学金返済期間の15~20年は、人生の最も重要な時期と重複する
- 20代後半: 結婚適齢期
- 30代前半: 出産・子育て開始期
- 30代後半: 住宅購入・キャリア確立期
この期間中、月17,000円の固定費は以下のライフイベントを大幅に遅らせる:
結婚年齢の後倒し
- 一般的な結婚年齢: 男性31歳、女性29歳
- 奨学金返済完了年齢: 37-42歳
- 実際の影響: 結婚年齢の3-5年後倒し
出産年齢への影響
- 第一子出産年齢の高齢化
- 理想の子ども数と実際の子ども数の乖離拡大
- 高齢出産によるリスク増加
社会全体への影響
少子化の加速
この貸与奨学金の返済負担が卒業後の若者の経済的負担へとつながり、卒業後の生活設計や「結婚」「出産」に深刻な影響を与えている現実は、日本の少子化問題の要因となっている。
出生数への直接的影響
- 結婚年齢の遅れ → 出産可能期間の短縮
- 経済的不安 → 理想子ども数の減少
- 教育費不安 → 出産の先延ばし・断念
給付型奨学金の対象範囲の狭さ
2020年4月から高等教育の修学支援新制度がスタートし、返済不要の給付型奨学金が拡充されたが、その対象範囲は限定的である
給付対象の制限
- 世帯年収による厳格な制限
- 学業成績による足切り
- 対象校の限定
中間所得層の多くは給付対象から除外されており、依然として貸与型奨学金に頼らざるを得ない状況が続いている。
外国人留学生への返済不要奨学金
日本では外国人留学生に対して様々な返済不要の奨学金制度が存在する。代表的なものとして、文部科学省外国人留学生学習奨励費、JASSO(日本学生支援機構)の給付奨学金、各大学独自の奨学金制度などがあります。
これらの制度により、年間約30万人の外国人留学生のうち、相当数が何らかの経済支援を受けている。
日本人学生ではなく、外国人留学生を無償にする
日本人学生の多くが有利子の貸与奨学金で学費を賄う一方、外国人留学生には返済不要の支援が手厚く提供されるいるのかの疑問が残ります。
日本人学生の奨学金返済負担が社会問題化している中で、この格差に対する不公平感が高まっています。特に経済的に困窮する日本人学生への支援が十分でない中での外国人支援拡充に対する批判は根強いものがある。
若者の未来を取り戻すために
奨学金返済問題は、個人の努力や自己責任の範疇を超えた問題に発展している。平均300万円、返済期間15-20年という重い負担は、若者の人生設計の足かせになり、結婚・出産という人生の選択肢を奪っている要因の一つ。
税金や社会保障費の増額などで、可処分所得が増えていない問題もある。ただでさえ、収入が増えていないことに加えて、一部奨学金の返済という二重苦は社会的な問題である。
奨学金の問題を解決しなくては、日本の少子化問題の根本的解決はあり得ない。
「教育を受ける権利」が「人生を縛る重荷」となってしまった現状を一日も早く改善することが、日本の若者の未来に希望を与えることに繋がる。


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