2026年3月7日、東京・有明アリーナ。RIZINの開幕戦となる「RIZIN.52」のメインイベントで、19歳(試合翌日に20歳の誕生日を迎える)の秋元強真が、元Bellatorバンタム級世界王者パッチー・ミックス(米国)を2R 0分37秒 TKOで撃破した。試合はグラウンドでのキックによるレフェリーストップという鮮烈な幕切れで、SNSでは「#RIZIN52」がX世界トレンドのTOP.5に入り、国内外で大きな話題となった。
試合後、榊原信行CEOが口にした言葉が格闘技ファンの間で一気に広まった。フェザー級王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフとの対戦について「年内もうシェイドゥラエフとの試合っていうのが完全に背中が見えた」と年内の王座挑戦を示唆したのだ。果たして、この夢のカードは現実になるのか。
試合前の下馬評と、それを覆した現実
実はこの一戦、多くの格闘技メディアやファンの間では「ミックス有利」とする見方が大勢を占めていた。ミックスはMMA20勝中13の一本勝ちを誇り、10勝をチョークで決めるという強力な寝技を持つ。UFC経験もある32歳の元世界王者に対し、まだ10代の国内プロスペクトがどこまでやれるか、という論調が多かった。
しかし秋元は臆していなかった。試合に向けて青木真也と約1カ月の秘密特訓を敢行し、グラウンドからの脱出方法を細かく習得した。「バックを取らせる前に倒す」と言い切った通り、秋元は試合でそれを完璧に実行してみせた。
2R 37秒──歴史的なフィニッシュの全貌
1Rから秋元はプレッシャーを緩めなかった。タックルに出るミックスを組ませずに体を離し、左ロー、ボディストレートとダメージを積み上げながら詰め続けると、左ストレートでダウンを奪い、倒れたところへサッカーボールキックを追撃した。
2Rにも再びパンチでダウンを奪うと立て続けにサッカーボールキックを見舞い、レフェリーがストップ。 かつて日本人が誰一人フィニッシュしたことのなかったミックスに、秋元が日本人初のKO勝利を刻んだ瞬間だった。
米スポーツ・イラストレイテッドは「元ベラトール王者が19歳の天才に完敗」と報じ、海外格闘技メディアも一斉に驚きの声を上げた。UFC人気ファイターたちもこの試合をSNSで紹介するなど、秋元の名前は一夜にして世界に届いた。
試合後のマイクで秋元は「ここから10年、俺がRIZINを背負っていく」 と宣言した。19歳とは思えない堂々たる言葉だった。
榊原CEOが認めた「世代交代」の予感
RIZIN.52後の総括会見で、榊原CEOは秋元への絶賛を惜しまなかった。「19歳の若き日本人が、世界トップレベルのパッチーからあのような形でTKO勝利したことは、世界を驚かせたはず」「日本のエースとして地位は確立したと言えるでしょう」 と明言した。
さらに踏み込んだのは、フェザー級の序列変化に関する言及だ。平本蓮や鈴木千裕といったフェザー級の中心選手たちについて「順位が変わってくる」と分析し、怪我で戦線離脱中の2人に奮起を促した。
これまでRIZINフェザー級のヒエラルキーの頂点には朝倉未来、平本蓮、鈴木千裕といった顔ぶれがあった。しかし朝倉は大晦日にシェイドゥラエフに敗れて手術中、平本と鈴木も怪我で離脱中という状況の中、秋元が一気にその空席を埋めようとしている。
シェイドゥラエフとはどれほどの”壁”か
ラジャブアリ・シェイドゥラエフとは、どんな選手なのか。改めて整理しておく必要がある。
2025年大晦日のさいたまスーパーアリーナで、シェイドゥラエフはRIZINフェザー級王者として朝倉未来と対戦し、初回バックマウントからのパウンドTKOで2度目の王座防衛に成功した。MMA17勝無敗、全試合フィニッシュという驚異の記録を持つ。
レスリングをベースとした高いフィジカルと寝技に加え、打撃でも十分に戦える文字通りのコンプリートファイターだ。朝倉未来でさえも手も足も出なかった相手に、20歳の秋元が挑む絵図はあまりにドラマティックすぎる。
しかし、そのシェイドゥラエフ自身も戦う気満々だ。大晦日の勝利後のコメントで、「2026年もRIZINとともにもっと盛り上げていきたいです。どういう相手と組んでくれてもそのオファーを喜んで受けて対戦します。対戦相手を一切選ばない。アメリカ人でも、日本人でも世界中どこから来ても、対戦します」と宣言していた。




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