ゆってぃ本人も「きょうれつぅぅぅ!」と驚愕
「ちっちゃいことは気にするな、それワカチコワカチコ」でお茶の間に笑いを届けてきたお笑い芸人・ゆってぃ。その名を冠した仮想通貨「Yuttycoin」が突如として仮想通貨市場に出現し、ネット上で大きな話題を呼んでいる。
2026年3月10日、ゆってぃ本人は自身のXを更新し、「なんだこのニュース。きょうれつぅぅぅ!」と驚きをつづった。
これはゆってぃのネタのセリフをそのまま借りたような反応だが、もちろん笑えない話だ。
芸能事務所のプロダクション人力舎は同日、公式サイトを更新し、「所属タレントの名前等を使用した仮想通貨について注意喚起のお願い」との声明を発表した。仮想通貨の世界で今、芸能人の名前を使った「便乗コイン」が相次いで問題化している。Yuttycoinはその最新事例だ。一体何が起きているのか、詳しく整理していく。
人力舎が公式発表した声明の全内容
人力舎は「弊社所属タレントの名前、タレント本人を連想させるようなビジュアルを用いた仮想通貨が発行されていることが確認されました」と明かした上で、「この度確認いたしました『Yuttycoin』につきまして、弊社及びゆってぃは全く関与をしておりません」と説明した。
さらに声明は続く。「弊社及び弊社所属タレントは特定の仮想通貨プロジェクトに関与することもございません。当該仮想通貨による被害・損失につきましては、一切の責任を負えませんので、何卒ご了承下さいますようお願い申し上げます」と呼びかけている。
注目すべきは「ゆってぃだけでなく全所属タレント」への言及だ。人力舎には東京03やアンジャッシュ児嶋一哉など知名度の高いタレントが多数在籍する。Pump.funで有名人名のトークンが濫造されている現状を踏まえれば、今後ほかの所属タレントの名前が使われる事態も想定した予防線だろう。
事務所として、今回の件を「ゆってぃだけの問題」ではなく、業界全体を見据えた対応として発信した点が重要だ。
「Yuttycoin」の正体とは何か
では、Yuttycoinは具体的にどのようなコインなのか。
Yuttycoinは、Solana上のPump.funで発行されたミームコインだ。ゆってぃ本人も人力舎も一切関わっていない。
「Pump.fun」という名前を聞きなれない人も多いだろう。Solana上で動くこのサービスを使えば、数百円程度の手数料で、誰でもオリジナルの仮想通貨を発行できてしまう。トークン名、画像、説明文を入力して手数料を払えば、その場で新しい仮想通貨が完成する。技術的な知識はほとんどいらない。
つまり、プログラミングの知識がなくても、数百円と少しの手間さえあれば「○○コイン」が今日にでも作れてしまうのが現実だ。これが芸能人名を使った便乗コインが乱発される構造的な背景にある。
発行主体は「@Yuttycoin(YuttyMizoguchi)」というXアカウントとされており、前日に別のミームコイン「21coin」を崩壊させた開発者「ドラネコ」と同一人物と報じられている。 計画的に複数のミームコインを渡り歩いていた可能性があり、単純なファン行動とは言い難い。
なぜ芸能人の名前が狙われるのか
今回の騒動は決して偶発的ではない。仮想通貨の世界では、知名度のある名前ほど「価値」を持つという歪んだ構造がある。
有名人の名前をコインに使う最大の理由はシンプルだ。SNSでの拡散力が格段に上がるからだ。「○○コインが出た」という情報はそれだけでニュースになり、一時的に注目を集める。短期間で値上がりを狙う投機目的の買い手が集まりやすくなり、発行者はその混乱を利用して利益を得ようとする。
Pump.funのようなプラットフォームは作成のハードルを大きく下げたが、その一方で、投機的・詐欺的トークンの温床になりやすいとの指摘も出ている。
また、今回のYuttycoinは孤立した事件ではない。2026年2月25日にはSolana上でサナエトークンが発行され、高市首相の似顔絵や名前が無断使用された。3月2日に高市首相本人が関与を全面否定するとサナエトークンは暴落。さらに3月7日頃にはアイドルグループ「きゅるりんってしてみて」の名称を無断使用したミームコインがPump.funで確認されている。
わずか数週間で著名人の名前を使ったコインが連続して問題化しているのだ。Yuttycoinはその流れの中の一つに過ぎず、「次は誰の番か分からない」状況が続いている。
本人の名前が使われた場合、法的にはどうなるのか
気になるのは法的な問題だ。無断で芸能人の名前や顔を使ってコインを発行することは、パブリシティ権(氏名・肖像を商業利用する権利)の侵害にあたる可能性がある。日本では有名人のパブリシティ権は判例でも認められており、商業的に名前・顔を無断使用した場合は損害賠償の対象になりうる。
ただし、Pump.funのような海外のプラットフォームを通じて、匿名の発行者が関与している場合、実際に権利行使や損害賠償請求を行うことは現実的に難しい側面もある。だからこそ事務所は法的対応の前段として「無関係」を明示し、被害を未然に防ごうとする声明を出す判断をとっている。
被害に遭ったらどこに相談すべきか
声明では、もし被害に遭われた場合や、不審な情報を見かけた場合は警察庁・金融庁・消費者庁等公的機関にご相談くださいと呼びかけている。
具体的な相談窓口は以下の通りだ。
金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811(平日10〜17時)
消費者ホットライン:188(いやや)
警察相談窓口:#9110
「有名人の名前がついているから大丈夫だろう」「SNSで話題だから乗り遅れたくない」という心理が最大の落とし穴だ。投資判断の前には、必ず公式サイトやSNSで本人・事務所のコメントを確認する習慣をつけることが重要だ。
ネットの反応は「笑い」と「心配」が半々
今回のニュースはSNS上でも大きな反響を呼んだ。
「Yuttycoinはさすがに笑う」「ワカチココインじゃないのか」「本人が一番びっくりしてそう」といったユーモア交じりのコメントが並ぶ一方で、「仮想通貨は本当に何でもありだな」「騙される人が出ないか心配」「こういうのがあるから仮想通貨は信用できない」といった真剣な懸念の声も目立った。
ゆってぃ自身の「きょうれつぅぅぅ!」というX投稿もバズり、本人のキャラクターも相まって笑いの要素も含む騒動となったが、その裏には金銭的被害につながりかねない深刻なリスクが潜んでいる。
まとめ:「有名人の名前=本人公認」は危険な思い込み
今回の騒動を整理すると、Yuttycoinはゆってぃ本人・プロダクション人力舎とは完全に無関係な第三者が、Pump.funというプラットフォームを使って発行したミームコインだ。事務所は即座に公式声明を発表し、関与を全面否定した。
重要なのは、今後も同様の事例は繰り返されるということだ。コイン作成のハードルが低い現状では、今後も同様の事例が出る可能性がある。まず公式発表を確認する習慣が重要だ。
「有名人の名前がついた仮想通貨=本人が関わっている」という思い込みは、大きな金銭的損失につながる可能性がある。SNSで話題になっているコインを見かけた際には、まず立ち止まり、本人や事務所の公式情報を確認すること。それが今できる最善の自衛策だ。




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