「最近、堂本剛を見かけなくなった」「テレビから消えた?」——そんな声をSNSや検索でよく目にする。
しかし、結論から言えば、堂本剛は消えていない。活動の場所が変わったのだ。本記事では、彼がテレビ露出を減らした本当の理由を多角的に掘り下げる。
活動の軸がテレビから音楽・舞台・独自プロジェクトへ移った
堂本剛が「テレビから消えた」と感じられる最大の理由は、シンプルに活動フィールドのシフトにある。
2000年代後半以降、彼はソロ音楽プロジェクト「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」(エンドリケリー)など、独自の世界観を持つアーティスト活動に注力し始めた。
これらは商業的な大衆路線ではなく、ファンクやソウルをベースにした本格的な音楽性を追求するもので、テレビのバラエティ番組や歌番組とは方向性が根本的に異なる。
また、奈良を拠点にしたアート・文化発信プロジェクトへの関わりや、舞台・演劇への傾倒も深まっている。テレビというメディアは、彼が表現したいものを届けるには最適な場ではなくなってきたのかもしれない。「テレビに出ない」のではなく、「テレビに出る必要がない」活動を選んでいる。
突発性難聴による活動スタイルの変化
堂本剛が活動ペースを落とした背景として見逃せないのが、突発性難聴との闘いだ。
彼は2017年頃から突発性難聴を患っていることを公表しており、その影響で耳への負担が大きい収録環境や生放送に出演しづらくなっていた。テレビのスタジオ収録は大音量や突発的な音が多く、難聴を抱えるアーティストにとって過酷な環境になりうる。
この病気は完治が難しく、再発リスクも高い。堂本剛が自分の身体と向き合いながら活動スタイルを慎重に選んでいることは、ファンならずとも理解できるはずだ。「出たくても出られない」状況があったことは、彼自身の発言からも読み取れる。健康を最優先にしながらの活動継続——これは批判ではなく、尊重されるべき選択だ。
音楽活動(ソロ)への本格シフト
KinKi Kidsとしての活動は継続しながらも、堂本剛のソロ活動はますます「アーティスト」としての色を濃くしている。
ソロ名義での楽曲リリース、ライブツアー、そして音楽性を突き詰めた作品制作。これらはテレビの露出がなくても、熱心なファンとダイレクトにつながるチャネルを通じて続いている。コンサート会場に足を運べば、堂本剛は確かにそこにいる。
現代のエンターテインメントにおいて、テレビに出ることがアーティストの存在証明ではなくなっている。ストリーミング配信、SNS、ライブ体験が主戦場になりつつある中、彼の選択は時代に即したものでもある。
バラエティ志向ではない性格・気質
堂本剛を語る上で欠かせないのが、その独特な内面性と芸術家気質だ。堂本剛は昔から「内側に深く入っていくタイプ」として知られている。スタジオのわいわいした雰囲気よりも、自分の音楽や表現と向き合う時間を好む。
これは怠慢や回避ではなく、性格的なベクトルの違いだ。彼が深く掘り下げた音楽や言葉には、表面的な賑やかさとは異なる重みがある。テレビのテンポやフォーマットに合わせることが、必ずしも彼の表現と相性がいいとは言えない。
グループ活動の変化
KinKi Kidsとしての活動も、かつての頻繁なテレビ露出とは異なるスタイルになっている。
デビュー当時(1997年〜)はドラマ、バラエティ、歌番組と多方面に出演し、まさにテレビの申し子のような存在だった。しかし20年以上のキャリアを経て、ふたりともテレビよりもコンサートや音楽活動を中心に据えるスタンスに変化してきた。
これはKinKi Kidsに限った話ではなく、長いキャリアを持つアーティスト全般に見られる傾向だ。マスメディアへの露出を抑えながら、コアなファンとの深い関係を築いていくスタイルは、むしろ成熟したアーティストの姿とも言える。
「干された」という説はほぼ根拠なし
ネット上では「堂本剛はジャニーズ(現SMILE-UP.)から干された」「テレビ局に嫌われた」という憶測も散見される。しかし、これらの説に具体的な根拠はほぼない。
KinKi Kidsとしての活動は継続されており、CDリリースやコンサートツアーも行われている。もし本当に事務所から干されていたり、テレビ局との関係が決定的に悪化していたりすれば、こうした活動が成立しないはずだ。
「テレビに出ない=業界から排除された」という短絡的な解釈は、芸能界の実態を無視したものだ。実際には、本人の意志と健康上の事情、そして活動の重心の変化が重なった結果であると考えるのが自然だ。
テレビ業界の変化も影響
堂本剛個人の事情だけでなく、テレビ業界全体の地殻変動も見逃せない。
かつてゴールデンタイムのバラエティ番組が視聴率20〜30%を叩き出していた時代は終わり、今や10%を超えれば「ヒット」とされる。視聴者はYouTube、Netflix、TikTokに分散し、テレビが「国民全員が見るメディア」ではなくなっている。
このような環境では、テレビに出演することのメリットが相対的に下がっている。多くのアーティストや俳優がテレビ出演を厳選するようになっており、堂本剛もその流れの中にいる。「テレビに出ない=人気がない」という図式自体が、もはや時代遅れの発想なのだ。
テレビ露出が減った≠活動停止
堂本剛がテレビから姿を消したように見える理由は、一つではない。
音楽への本格コミット、突発性難聴という身体的な事情、バラエティとは異なる芸術家としての気質、そしてテレビというメディア自体の変容。
これらが複合的に絡み合った結果だ。「干された」「消えた」という見方は、現実の一側面しか捉えていない。
堂本剛は今もステージに立ち、楽曲を作り、自分の表現を磨き続けている。テレビの前に座って彼を探しても見つからないのは、彼がその先の場所で活動しているからだ。
ファンにとっては「もっとテレビで見たい」という気持ちもあるだろう。しかしそれは、彼の活動の豊かさを知った上での贅沢な悩みかもしれない。
堂本剛という表現者は、テレビの枠を超えたところで、確かに今も動いている。





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