政界に衝撃 山本太郎氏の突然の議員辞職
2026年1月21日、れいわ新選組の山本太郎代表が参議院議員を辞職することを表明しました。山本氏は51歳で、昨年秋の人間ドックで多発性骨髄腫の一歩手前という診断を受けたことを公表しました。
「多発性骨髄腫、血液のがん、その一歩手前にいます」という山本氏の言葉は多くの人々に衝撃を与えました。山本氏は無期限の活動休止に入ることを明らかにし、過度なストレスが最も大きな原因だろうと考えていると語っています。では、この多発性骨髄腫とは一体どのような病気なのでしょうか。
多発性骨髄腫とは何か?基本を理解する
多発性骨髄腫は、血液細胞の一種である形質細胞ががん化したことによって起こる病気です。形質細胞とは、本来ウイルスや細菌などの異物と戦う抗体を作る細胞ですが、この細胞ががん化すると正常な働きをしない異常な抗体(Mタンパク)を作り続けてしまいます。
日本では人口10万人あたり6.0人が発症し、すべてのがんの約1%、血液がんの約10%を占めているとされています。この病気は高齢者に多く、50歳ごろから年齢とともに患者数が増えていくという特徴があります。
山本氏のケースでは51歳という年齢での発症となりますが、医師からも51歳でこの病気になるのは早いという感覚だと言われたそうです。一般的には高齢者に多い病気であるため、比較的若い年齢での発症は医学的にも注目されるケースと言えるでしょう。
「血液のがん」が引き起こす深刻な症状
多発性骨髄腫は、体内でさまざまな症状を引き起こします。主な症状は大きく3つに分類されます。
1. 造血機能の低下による症状
骨髄腫細胞の増殖によって、正常な血液細胞をつくる造血機能が低下し、赤血球などの生成が抑えられるため、貧血、息切れ、だるさ、倦怠感などの症状が現れます。また、白血球が減少することで感染症にかかりやすくなり、血小板が減少すると出血しやすくなります。
2. 骨の破壊による症状
骨髄腫細胞が骨を壊すことによって骨痛(腰や背中の痛み)、骨折、高カルシウム血症による食欲不振などが起こるのが特徴です。腰椎圧迫骨折など、いつの間にか骨折していることも少なくありません。痛み止めが効かないような激しい腰痛が長期間続く場合は、この病気を疑う必要があるとされています。
3. Mタンパクの増加による症状
異常な抗体であるMタンパクが血液中に増えると、血液がドロドロになったり、腎臓に沈着して腎障害を引き起こしたりします。免疫機能が低下すれば肺炎や尿路感染症などの感染症が起こりやすくなるため、患者さんは日常生活でも注意が必要です。
多発性骨髄腫の原因は解明されているのか
多くの人が気になるのは「なぜこの病気になるのか」という点でしょう。しかし実は、多発性骨髄腫では、何らかの理由によって骨髄腫細胞にさまざまな遺伝子異常や染色体異常が生じていることが知られていますが、はっきりした原因はよくわかっていません。
病気の原因はよくわかっておらず、一般的に遺伝することはないとされています。つまり、特定のリスク因子や明確な原因は現時点では解明されていないのが現状です。遺伝子や染色体の異常が関与していることは分かっていますが、なぜその異常が起こるのかについては研究が続けられています。
ストレスは多発性骨髄腫の原因になるのか
山本氏は会見で「過度なストレスが最も大きな原因だろう」と語っていますが、医学的にはストレスと多発性骨髄腫の直接的な因果関係は証明されていません。
山本氏は「国会での活動は身体的、精神的にかなりのプレッシャーがかかる作業の連続だった」と振り返り、「200%の力を出し切る」ことをテーマにしていたと語っています。このような極度のストレス状態が続いていたことは事実です。
ただし、現在の医学では多発性骨髄腫の明確な発症原因は特定されておらず、ストレスが直接的に病気を引き起こすという科学的証拠はありません。しかし、ストレスが免疫機能に影響を与えることは知られており、間接的に健康状態に悪影響を及ぼす可能性は否定できません。
山本氏のように過酷な政治活動で心身に大きな負担がかかり続けた場合、体の免疫システムや細胞の働きに何らかの影響があった可能性は考えられますが、これはあくまで推測の域を出ません。
「一歩手前」とはどういう状態なのか
山本氏は「多発性骨髄腫の一歩手前」という表現を使っていますが、これは医学的には「MGUS(良性単クローン性高ガンマグロブリン血症)」や「無症候性骨髄腫(くすぶり型)」と呼ばれる状態を指している可能性が高いです。
症状がない場合を無症候性多発性骨髄腫といい、すぐには治療を始めず、定期的な検査による経過観察が続くこともあります。つまり、骨髄腫細胞やMタンパクが増えていても、まだ臓器障害などの症状が現れていない段階です。
しかし、細胞分裂が活発な年齢でがんになったら広がるのも一気で、その手前で全力で食い止める必要があると山本氏は説明しています。若い年齢での発症は進行が速い可能性があるため、早期の対応が極めて重要となるのです。
現代の治療法は飛躍的に進歩している
かつては治療が困難だった多発性骨髄腫ですが、近年は治療法が大きく進歩しています。
多発性骨髄腫の治療はこの10年で目覚ましい進歩を遂げており、以前は治癒しない病気だったが、新規薬剤を最初から使うことで最近は治癒する患者さんも出てきているのではないかと期待されています。
主な治療法としては、免疫調節薬、分子標的薬(プロテアソーム阻害剤)、抗体薬(免疫治療)などを組み合わせた薬物療法が行われます。若い患者さんの場合は、大量抗がん剤治療と自家末梢血幹細胞移植が選択肢となることもあります。
多発性骨髄腫の治療法は日進月歩で、今では病気の進行や症状をコントロールしながら長くつきあう病気になってきています。完全な治癒は難しいケースもありますが、適切な治療により長期間の生活の質を維持できる可能性が高まっています。
早期発見が何より重要
多発性骨髄腫は初期段階では症状が現れないことも多く、健康診断を定期的に受けている人であれば、血液の異常で異常を指摘されて病院を受診し、症状の出る前に見つかることも多いとされています。
山本氏のケースも、昨年秋の人間ドックで異常が見つかったことがきっかけでした。血液検査での高タンパク血症、貧血、腎機能の異常などが発見の契機となることが多いため、定期的な健康診断の重要性が改めて浮き彫りになります。
特に50歳以降は発症リスクが高まるため、定期的な健康診断と血液検査の結果に注意を払うことが大切です。異常を指摘された場合は放置せず、必ず精密検査を受けるようにしましょう。
病気と向き合う勇気
山本太郎氏の議員辞職は、政治家としての活動よりも命を優先するという重要な決断でした。「進行させないことを最大のテーマに今生きなければ命を失いかねない」という言葉からは、病気と真剣に向き合う覚悟が感じられます。
多発性骨髄腫は原因が完全には解明されていない難しい病気ですが、医療の進歩により治療の選択肢は確実に広がっています。ストレスとの直接的な因果関係は証明されていないものの、心身の健康を保つことの重要性を改めて考えさせられる出来事となりました。
私たち一人一人にできることは、定期的な健康診断を受け、体の変化に敏感になること。そして、健康を何よりも大切にする生活を心がけることです。山本氏の一日も早い回復を願うとともに、この出来事が多発性骨髄腫という病気への理解を深めるきっかけになることを期待します。


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