ONEデビュー戦で衝撃の計量失敗
2025年11月16日に東京・有明アリーナで開催される格闘技イベント「ONE 173」。元K-1スーパーライト級王者・安保瑠輝也のONEデビュー戦が注目を集めていたが、前日計量で衝撃的な事態が発生した。
11月15日午前10時から開始された前日計量で、安保は規定時間の残り42分でようやく計量会場に姿を現したが、ハイドレーションテストと体重計量の両方をクリアできなかった。尿比重は規定の1.0250に対し1.0292、体重は155.4ポンド(約70.5kg)でリミットを約181グラムオーバー。その後、規定時間である午後1時までに再計量に現れることはなかった。
対戦相手の元K-1スーパーウェルター級王者マラット・グレゴリアン(アルメニア)は154.2ポンド(69.94kg)で1発パス。試合前の会見で「焼肉食べに来たか?」とグレゴリアンの前回計量失敗を煽っていた安保だったが、まさかの立場逆転となった。
ONEの厳格な計量システムとは
ONE Championshipでは、選手の安全を最優先するため、他団体とは異なる独自の計量システムを採用している。最大の特徴はハイドレーションテストの導入だ。
過去に選手が減量中に死亡する事故が発生したことを受け、ONEは危険な水抜き減量を禁止。計量時には尿比重を測定し、選手が過度な脱水状態にないかをチェックする。基準値は1.0250以下で、これをクリアしなければ体重が規定内でも試合ができない。
選手は計量とハイドレーションテストの両方を試合24〜48時間前から3時間以内にクリアする必要がある。安保はこの厳格なルールに初めて直面し、17年間の格闘技人生で初めての計量失敗という屈辱を味わうことになった。
安保の悔しさと謝罪のコメント
計量失敗後、安保は自身のXで胸の内を明かした。
「17年間の格闘技人生で初めて計量オーバーした。ONEでは水抜きが禁止されてて今回いつもと違う減量方法にアジャストできんかった。水を抜けるならクリアできてたとかそんなん言い訳なるけど、悔しい。グレゴリアン、応援してくれてたファンの皆んなすみません」
さらに「今の状況。180gオーバー、ハイドレーションも300?知らんけどオーバー。水を飲まんとしょんべん出んからハイドレーション下がらん。水飲むと体重増える。詰みました」と、ジレンマに陥った状況を説明。
体重煽りをしていたことへの反省も示し「これに関しては持ってきた体重計がバグってた。それもプロ失格!焼肉奢るから試合してください グレゴリアンさん」と、挑発していた相手に懇願する事態となった。
キャッチウェイト契約への交渉
ONEの規定によれば、計量失敗の場合、相手選手との交渉によりキャッチウェイト戦として試合を行うことができる。過去の事例では、計量に失敗した選手がファイトマネーの20〜30%を相手選手に譲渡する形でペナルティが科されている。
2025年3月のONE 172では、スーパーレックが計量オーバーにより王座を剥奪され、ファイトマネーの30%をアナンに譲渡してキャッチウェイト戦が行われた。また、小川健晴がライト級リミットを3.5ポンドオーバーした際には、ファイトマネーの20%をエイドリアン・リーに譲渡している。
安保とグレゴリアンの試合についても、同様の条件での交渉が進められて安保側がグレゴリアンにファイトマネーから30%支払い試合は正式に成立しました。
格闘技界とネットの反応
野杁正明の厳しいコメント
安保のONE参戦の最大の目的は、2021年にK-1で敗れた野杁正明へのリベンジ。会見では「今のONE暫定王者である野杁正明に屈辱を晴らすために来た」と宣言していた。
その野杁は安保の参戦発表時に「ONEはそんなに甘くない世界。言いたいことがあるならしっかり勝てよ」と釘を刺していたが、計量失敗というまさかの展開に、野杁の言葉が現実のものとなった形だ。
格闘技評論家の見解
格闘技ジャーナリストからは「ONEのハイドレーションテストは初めての選手にとって非常に難しい。水抜きに頼った減量ができないため、日常から体重管理が求められる」との指摘が相次いだ。
また「約180グラムという僅差での失敗は、ONEのシステムを甘く見ていた可能性がある。国内団体とは次元が違う厳格さだ」との厳しい意見も。
一方で「ハイドレーションテストの数値が規定を上回っていたことが最大の問題。安保は水を飲めば体重が増え、水を抜けばハイドレーションが悪化するという完全なジレンマに陥っていた」と、システムの難しさを指摘する声もあった。
SNSでの反響
ネット上では様々な意見が飛び交った。
批判的な声
- 「グレゴリアンに焼肉食べに来たかって煽ってたのに、自分が失敗するとは…」
- 「プロとして体重管理は基本中の基本。計量失敗は擁護できない」
- 「野杁にONEは甘くないって言われてたのにこれはダサい」
同情的な声
- 「ONEのハイドレーションテストは本当に難しい。初めてなら仕方ない部分もある」
- 「180gの差なら誤差の範囲。体重計の精度の問題もあるかも」
- 「水抜き禁止というルール自体は選手の健康を守る良いシステム」
期待の声
- 「キャッチウェイトでも試合は見たい。グレゴリアン戦を楽しみにしてた」
- 「ここから巻き返してほしい。安保の実力は本物」
試合の見どころと今後の展望
仮に試合が成立した場合、安保にとっては約2年ぶりのキックボクシング本格戦となる。直近はボクシングやMMAに挑戦していたが、本来は蹴り技を得意とする選手。ボクシング特訓で磨いたパンチ力と、本来の蹴り技を融合させた戦いが期待されていた。
対するグレゴリアンは、元GLORYライト級王者として世界トップレベルで活躍してきた実力者。フィジカルを活かした前進圧力と重いパンチが武器だ。
安保は会見で「彼のファイトスタイルってワンパターンで一辺倒だから、今の俺のテクニックの前では何もできずに完封できる」と自信を見せていたが、計量失敗によりメンタル面での不利は否めない。
グレゴリアンは「俺は地獄をもたらし、アイツはその痛みを感じるだろう」と、安保への怒りをあらわにしていた。計量をクリアした側として、試合成立となれば圧倒的に有利な立場で戦えることになる。
野杁へのリベンジロードは暗雲
安保瑠輝也のONEデビュー戦は、計量失敗という最悪のスタートとなった。17年のキャリアで初めての計量失敗、そしてONE独自のハイドレーションテストへの適応失敗は、プロとしての準備不足を露呈する形となった。
最大の目標である野杁正明へのリベンジに向けた第一歩となるはずだったグレゴリアン戦。試合が成立したとしても、ファイトマネーの一部を相手に支払い、精神的にも不利な状況での戦いを強いられることになる。
ONEは世界最高峰の舞台。その厳格なルールとシステムに、安保がどう適応していくのか。この挫折をバネに成長できるか、それともONEの壁に阻まれるか。16日の試合結果と共に、今後の動向が注目される。
格闘技ファンの間では「ONE 173」への期待と不安が入り混じる中、安保の復活劇を期待する声も少なくない。計量失敗という失態を乗り越え、リング上で真の実力を証明できるか。元K-1王者のプライドをかけた戦いが始まろうとしている。


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