はじめに:格闘技ファン待望のビッグマッチが実現
2025年12月31日、さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN大晦日大会で、朝倉未来がRIZINフェザー級王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフに挑戦することが正式決定しました。朝倉にとっては4年ぶりの大晦日参戦となり、RIZIN初のタイトル挑戦となる歴史的な一戦です。
この試合は、王座戦を超えた意味を持ちます。日本格闘技界のスター選手と、プロMMA16勝無敗、全試合フィニッシュ勝利という驚異の戦績を誇る怪物王者との激突。ファンの間では最も注目カードです。
圧倒的王者シェイドゥラエフの強さとは
無敗記録が物語る実力
シェイドゥラエフは現在、16戦16勝の完璧な戦績を維持しており、5つのKO・TKOと11の一本勝ちですべての試合をフィニッシュしています。判定勝ちが一度もないという事実は、その圧倒的な終わらせる能力を示しています。
特筆すべきは、前回の防衛戦では挑戦者ビクター・コレスニックをわずか33秒でTKOした衝撃的な内容です。また、新王者となった試合では、元王者クレベル・コイケを1ラウンド62秒でKOし、日本のトップファイターたちを次々と圧倒してきました。
総合力の高さ
シェイドゥラエフは高校時代にサッカーと柔道を経験し、卒業後にレスリングを本格的に開始したという異色の経歴を持ちます。打撃、レスリング、サブミッション技術のすべてにおいて高い能力を持つオールラウンダーとして知られ、どの局面でも相手を圧倒できる万能型ファイターです。
キルギスの標高1500メートルを超える山岳地帯での高地トレーニングにより、心肺機能と持久力が鍛えられ、試合序盤から高いテンポで攻め続けることが可能という身体的アドバンテージも持っています。
朝倉未来の現状と課題
復活の狼煙を上げた2連勝
朝倉は2024年7月に平本蓮に初回TKO負けを喫し、一時は引退を表明したものの、2025年5月に鈴木千裕を3回TKOで下し、7月には元王者クレベル・コイケに判定勝利しました。この2連勝で完全復活をアピールし、王座挑戦の権利を獲得しています。
特にクレベルとの再戦では、4年ぶりの雪辱を果たし、かつての宿敵を寝技で完封。ベテランらしい試合運びと技術の成熟を見せました。
避けられない不安要素
しかし、朝倉には大きな懸念材料があります。自身のYouTubeで、右手に埋めたボルトが限界に来ており、これ以上治療できない状態であることを明かし、拳が壊れても構わないという覚悟で戦うことを示唆しています。
また、33歳という年齢は格闘家としては決して若くありません。対するシェイドゥラエフは25歳と脂が乗り切った年齢であり、フィジカル面でのアドバンテージは明らかです。
試合予想:客観的に見た勝敗の行方
有力視されるシェイドゥラエフの勝利
正直に言えば、客観的に見てシェイドゥラエフが有利と言わざるを得ません。
その理由は以下の通りです。
圧倒的なフィニッシュ率: 16戦すべてをフィニッシュで終わらせているという事実は、どんな局面でも試合を終わらせる能力を持っていることを示しています。朝倉がどれだけ慎重に戦っても、一瞬の隙を突かれる可能性は常につきまといます。
フィジカルの差: 若さ、スピード、パワーのすべてでシェイドゥラエフが上回る可能性が高く、特に高地トレーニングで培われたスタミナは試合後半まで衰えることなく攻撃を継続できる武器となります。
オールラウンドな技術: 打撃でも寝技でも優位に立てるため、朝倉が得意な局面に持ち込んでも、そこで勝負を決められる保証はありません。
専門家の多くもシェイドゥラエフの勝利を予想しており、朝倉自身も「UFCのフェザー級チャンピオンのヴォルカノフスキーよりも強いと思っている」と語り、相手の強さを認めている状況です。
朝倉未来が勝つための3つのシナリオ
とはいえ、格闘技に絶対はありません。朝倉が勝利を掴むためのシナリオを考察します。
シナリオ1:初回から圧力をかけ続ける速攻戦略
朝倉は会見で「全力で1ラウンドから倒しにいく」と宣言しています。これは単なる強がりではなく、合理的な戦略でもあります。
シェイドゥラエフは相手のリズムを崩しながら自分のペースに持ち込むことで真価を発揮するファイターです。試合開始直後から積極的に打撃を仕掛け、相手に考える時間を与えないことで、王者の判断力を鈍らせることができれば、勝機は生まれます。
朝倉の右ストレートが早い段階でヒットすれば、流れは一気に変わります。経験豊富な朝倉なら、一瞬のチャンスを逃さずフィニッシュまで持っていく技術は十分に持っています。
シナリオ2:ベテランの経験値を活かした巧みな試合運び
朝倉の最大の武器は、数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験値です。シェイドゥラエフは確かに強いですが、まだ若く、経験という点では朝倉に分があります。
大舞台でのプレッシャー、観客の熱気、そして王者として背負うものの重さ。こうした要素が積み重なれば、若い王者に動揺が生まれる可能性もあります。朝倉はそうした心理的な隙を突き、冷静に試合をコントロールすることができれば、判定勝利への道も見えてきます。
シナリオ3:覚悟を決めた最後の戦い
朝倉は「格闘人生も長くないので、拳が壊れても構わない」という覚悟を示し、最後の戦いのつもりで臨むことを明言しています。
この「背水の陣」こそが、朝倉の最大の武器になるかもしれません。失うものがないという境地に立った時、人は普段以上の力を発揮することがあります。右手のボルトが限界でも、それを度外視して全てを賭ける覚悟があれば、想像を超える一撃が生まれる可能性は十分にあります。
勝敗の鍵を握る3つのポイント
ポイント1:開始3分間の攻防
最初の3分間がこの試合の行方を大きく左右します。朝倉がここで優位に立てれば、自分のリズムで試合を進められます。逆にシェイドゥラエフがテイクダウンや強打で主導権を握れば、そのまま一方的な展開になる可能性が高まります。
ポイント2:距離とタイミングのコントロール
シェイドゥラエフの強みは、間合いを詰めてからの圧力とパワーです。朝倉は適切な距離を保ちながら、カウンターのタイミングを見極める必要があります。安易に組み合いに応じれば、王者の得意なグラウンドに引きずり込まれる危険性があります。
ポイント3:スタミナ配分の見極め
高地トレーニングで鍛えたシェイドゥラエフのスタミナは驚異的です。朝倉は無駄なエネルギー消費を避け、要所で爆発力を発揮する戦い方が求められます。全ラウンドを通して集中力を保てるかどうかが、勝敗を分ける要因となるでしょう。
ファンが期待する大晦日の激闘
シェイドゥラエフの圧倒的な戦績とフィジカル、そして若さを考慮すれば、王者有利という見方が妥当です。しかし、朝倉は「あのベルトは元々俺のために作られたと思っている」と語り、絶対にベルトを取りに行く強い意志を示しています。
この試合は、無敗の怪物王者と、すべてを賭けて挑む日本のトップファイターとの真剣勝負です。朝倉が勝つ可能性は決して高くはありませんが、ゼロでもありません。初回からの速攻、経験値を活かした冷静な判断、そして何よりも「最後の戦い」という覚悟が奇跡を起こす可能性は十分にあります。
大晦日のさいたまスーパーアリーナで繰り広げられるこの歴史的な一戦。どんな結末を迎えるにせよ、両者の全てを懸けた戦いは、格闘技ファンの記憶に永く刻まれることは間違いありません。
格闘技の醍醐味は、予想を覆す番狂わせにあります。朝倉未来が奇跡を起こし、無敗の王者を倒す姿を見られることを期待しつつ、12月31日を待ちましょう。



コメント