「まだ古い保険証を使っているけど、2026年4月からはどうなるの?」「10割負担になるって本当?」——そんな不安を持つ方が急増しています。
結論から先にお伝えします。2026年4月以降、何も準備していなければ窓口では一時的に10割負担を求められる可能性がありますが、最終的に全額が手元から消えるわけではありません。 ただし、手間と時間がかかる手続きが発生します。本記事では、制度の経緯と4月以降の正確な対応を、混乱なく理解できるよう丁寧に解説します。
そもそも「暫定措置」とは何だったのか
2025年12月2日、長年使われてきた紙の健康保険証は正式に廃止され、新たに「マイナ保険証(マイナンバーカードと健康保険証を一体化したもの)」または「資格確認書」による受診体制へと移行しました。
しかし、移行がすんなり進まなかったのは周知の通りです。マイナ保険証の登録率は2025年10月末時点でカード保有者の約87%に達していたものの、実際の利用率はわずか37%にとどまりました。つまり「持っているけど使っていない」人が大多数だったのです。
こうした現場の混乱を受けて、厚生労働省は2025年11月12日付の事務連絡で、期限切れとなった紙の健康保険証を持参した患者であっても、医療機関がオンライン資格確認システムで保険加入を確認できれば、3割等の通常の自己負担で受診してよいという暫定的な取り扱いを認めました。この措置が「2026年3月31日まで」の期限付きで続いていたわけです。
つまり、この半年間は「保険証が期限切れでも、医療機関がシステムで確認さえすれば普通に診てもらえる」という状態が続いていた、ということです。
2026年4月以降——何が変わるのか
暫定措置は2026年3月31日をもって終了します。
4月1日以降は、医療機関の窓口で保険診療を受けるために必要なものが明確に変わります。
受診できるのは「マイナ保険証を提示した場合」か「資格確認書を提示した場合」に限られます。期限切れの紙の保険証は、もはや医療機関が保険診療として取り扱う義務がありません。
では、どちらも持っていない状態で受診した場合はどうなるのか。
窓口では10割負担になる——ただし”一時的”
健康保険への加入を証明できるものが何もなければ、窓口では医療費の全額(10割)を求められます。これは制度の原則であり、4月以降は避けられない現実です。
しかし、払ったお金が永遠に戻ってこないわけではありません。
健康保険は法律で加入が義務づけられているため、後日「健康保険療養費支給申請書」に領収書を添えて加入している健康保険組合(または国民健康保険の場合は自治体)へ申請すれば、自己負担分(1〜3割)を超えた金額の払い戻しを受けることができます。
ただし、注意点があります。
- 受診のたびに申請書の記入と書類提出が必要
- 返金まで数週間〜数ヶ月かかる場合がある
- 領収書・明細書を必ず保管しておく必要がある
「最終的には戻ってくる」と分かっていても、毎回この手続きを踏むのは相当な手間です。 この負担を避けるためにも、今すぐ準備を始めることが賢明です。
4月までに取るべき行動——3つの選択肢
選択肢①:マイナ保険証を使えるようにする
すでにマイナンバーカードを持っている方は、健康保険証としての利用登録が完了しているか確認しましょう。登録済みであれば、病院の受付にあるカードリーダーにタッチするだけで受診できます。
マイナポータルやセブン銀行ATMなどでも登録・確認が可能です。まだカード自体を持っていない場合は、市区町村の窓口または郵送で申請できます(発行まで約1〜2ヶ月かかります)。
選択肢②:資格確認書を取得する
マイナンバーカードを取得していない方、またはカードは持っているが健康保険証としての利用を希望しない方には、「資格確認書」が発行されます。
資格確認書とは、健康保険への加入を証明する公的な書類で、紙の保険証と同じように医療機関の窓口で提示するだけで保険診療が受けられます。カード型・はがき型など保険者によって形状が異なります。
申請方法は加入している健康保険組合や自治体によって異なりますが、多くの場合は書面や窓口での申請が必要です。会社員の方は勤務先の人事・総務部門へ、国保の方はお住まいの市区町村へ確認してください。
扶養家族の分も忘れずに手続きを行いましょう。
選択肢③:やむを得ない場合は療養費申請を活用する
急な受診などでどうしても証明書類が揃わない場合は、一時的に10割を支払い、後日療養費の申請で差額を取り戻す方法があります。このケースでは、必ず領収書と明細書を保管しておくことが大前提です。
「資格確認書があれば医療費が高くなる」は本当か
一部で「資格確認書だと医療費が高くなる」という情報が広まっていましたが、2024年11月の制度改正により、マイナ保険証と資格確認書で医療費負担額に差はありません。 以前は初診時の上乗せ負担が設けられていましたが、廃止されています。マイナ保険証でなくても、資格確認書さえあれば同じ自己負担で受診できます。
医療機関での「資格確認の手段」が増えすぎている問題
制度移行の混乱を受けて、資格確認の方法は現在10種類以上に膨れ上がっています。医療機関の受付担当者にとって、どの書類が有効でどう処理するかの判断が複雑になっており、現場での混乱は続いています。
また、マイナンバーカードに内蔵されている「電子証明書」の有効期限は5年間のため、2025年はその更新対象者が約2,768万人にのぼると見込まれていました。更新を忘れていると、カード自体は有効でも保険証として使えなくなる事態が起こり得ます。マイナ保険証を使っている方は、電子証明書の有効期限も定期的に確認することをおすすめします。
「4月からどうする?」チェックリスト
2026年4月以降の受診に備えて、今すぐ確認しておきたいことを整理します。
□ マイナンバーカードを持っている場合 → 健康保険証としての利用登録が完了しているか確認する → 電子証明書の有効期限を確認する(期限切れの場合は市区町村窓口で更新)
□ マイナンバーカードを持っていない場合、または使いたくない場合 → 資格確認書を加入保険者(健保組合・自治体)へ申請する → 扶養家族の分も忘れずに申請する
□ どちらも間に合わなかった場合 → 受診後に「健康保険療養費支給申請書」を提出して差額を取り戻す → 領収書・明細書は必ず保管しておく
暫定措置の終了は、「保険証の廃止」というだけの問題ではなく、自分が医療を受ける権利をどう守るかという問題です。手続きは難しくありません。今すぐ一歩動けば、4月以降も安心して病院に行ける環境を整えることができます。
制度は今後も変更される可能性があるため、厚生労働省や加入中の保険者からの最新情報を定期的に確認するようにしてください。


コメント