あなたのお弁当、もう妥協しなくていい
「ごはんをもっと減らしたい」「このおかずは苦手だから別のものにしたい」「もっとたれをかけたい」——お弁当を買うたびに、そんな小さなストレスを感じたことはないだろうか。
長年にわたって日本のお弁当文化を支えてきたほっかほっか亭が、2024年についにその”小さなストレス”を解消するサービスを本格始動させた。それが「カスタマイズ弁当」と「推し盛弁当」の2つの新サービスだ。
「自分だけのお弁当をつくる」という体験は、一見シンプルに聞こえる。しかしこれは、長年変わらなかった持ち帰り弁当業界のあり方そのものを揺さぶる、きわめて大きな一歩である。
ほっかほっか亭とは——半世紀近く愛され続けるお弁当の定番
まずほっかほっか亭について簡単に触れておきたい。1976年に創業し、全国各地に店舗を展開してきた持ち帰り弁当チェーンの草分け的存在だ。「のり弁当」「幕の内弁当」「から揚げ弁当」など、日本人なら一度は口にしたことがあるはずのメニューを長年提供してきた。
リーズナブルな価格と安定した品質は今も変わらない強みだが、近年は消費者ニーズの多様化という大きな波に直面していた。健康志向、ダイエット、アレルギー対応、そして「好みをとことん反映させたい」という個性化の流れ——こうした変化に応えるべく生まれたのが、今回の2サービスである。
「カスタマイズ弁当」とは?既存メニューに”自分らしさ”をプラス
サービスの概要
「カスタマイズ弁当」は、ほっかほっか亭の既存のお弁当やおかずをベースにしながら、好きな惣菜やたれ&ソースなどを自由に追加してカスタマイズできるサービスだ。
たとえば「から揚げ弁当にきんぴらごぼうを追加したい」「幕の内弁当にレモンじょうゆをかけたい」「のり弁当に明太ソースをつけてほしい」といった、これまでは「できれば……」と心のなかで思いつつも諦めていたリクエストが実現できるようになった。
なぜ「カスタマイズ弁当」が生まれたのか
このサービスが誕生した背景には、店舗スタッフへの日々の声がある。ほっかほっか亭の各店舗には、長年通い続けるリピーターが多い。そしてそのリピーターたちから「ちょっとだけ変えてほしい」という要望が、現場に積み重なっていた。
「ごはんを少なめにしてもらえますか?」「このおかず、追加できませんか?」——こうした声はスタッフも把握していたが、オペレーション上の制約から対応が難しかったのが実情だ。
今回の本格始動は、そのフィードバックをサービスとして体系化した結果である。「お客様の声を形にする」という、いかにもほっかほっか亭らしい実直な姿勢がにじむサービスだといえる。
カスタマイズの具体的な内容
現時点で追加・変更できるとされているのは以下のような項目だ。
- 惣菜の追加:きんぴらごぼう、ひじきの煮物、玉子焼きなど和惣菜を中心とした追加オプション
- たれ&ソースの追加:ポン酢、明太ソース、レモンじょうゆ、特製だれなど数種類から選択可能
- ごはんの量の調整:少なめ・普通・多めから選べる(店舗によって対応が異なる場合あり)
「少し物足りなかった」「もう少し味のバリエーションが欲しかった」というユーザーにとって、これは文字通りの福音だろう。
「推し盛弁当」とは?イチから組み立てる”完全オーダーメイド”弁当
サービスの概要
「カスタマイズ弁当」が”既存メニューに追加する”サービスだとすれば、「推し盛弁当」はさらに一歩踏み込んだ”白紙からつくる”サービスだ。
ごはんの量を決め、おかずを自由に選び、たれ&ソースも好みに合わせて組み合わせる。既存のお弁当という”型”にとらわれず、文字通り自分だけの一食を完成させることができる。
「推し盛」という言葉には、「自分が推すものを思い切り盛り込んだ弁当」という意味合いが込められている。推し活文化が浸透した現代らしいネーミングセンスで、SNS映えも意識したサービス名だ。
「推し盛弁当」誕生のきっかけ
このサービスの背景にあるのは、近年急速に広まった「パーソナライゼーション」への需要だ。コーヒーチェーンでの細かいカスタマイズ文化、サブスクリプションサービスによる嗜好のデータ化、そしてSNS上での「マイ◯◯」シェア文化——こうした流れのなかで、「食事も自分好みに組み立てたい」という欲求はごく自然な進化といえる。
特に注目すべきは、健康管理への意識向上だ。糖質を抑えたい人はごはんの量を減らし、タンパク質を増やしたい人はから揚げや焼き魚などのおかずを重ねる。これまでコンビニのサラダや単品惣菜を組み合わせていたような健康意識の高いユーザーに対して、「ほっかほっか亭でも自分に合った食事をつくれる」と訴えかけるサービスである。
推し盛弁当の組み立て方
利用の流れはシンプルだ。
① ごはんの量を選ぶ:少なめ・普通・多め・大盛りなど複数のサイズから選択。糖質が気になる人は少なめを、育ち盛りの子どもや体を動かす人は多めや大盛りを選べばいい。
② おかずを選ぶ:から揚げ、焼き魚、コロッケ、玉子焼き、煮物など、日替わりも含めた惣菜のなかから複数を自由に組み合わせる。
③ たれ&ソースを選ぶ:味付けの最後の一押しとなるたれやソースを加えることで、同じ食材でも全く異なる味わいになる。
この3ステップで、世界にひとつだけの弁当が完成する。
ネットの反応——SNSで話題沸騰、ユーザーの声は?
両サービスの発表はSNS上で大きな話題を呼んだ。X(旧Twitter)やInstagramには多くの投稿が寄せられ、反応は全体的にきわめてポジティブだ。
「ついに来た!ずっとこういうの待ってた」 「コンビニのカスタマイズには限界があるし、ほっかほっか亭なら温かいし最高」というコメントに代表されるように、温かい弁当をカスタマイズできる点への評価が高い。コンビニ各社がカスタマイズ性よりも即時性を重視するなか、”つくりたて・温かい”を売りにするほっかほっか亭のカスタマイズは差別化として機能しているようだ。
「推し盛弁当、名前のセンスが好き」 「推し活」になぞらえたネーミングへの共感も多く、「推しおかずを全部入れたい」「これは沼る」といった書き込みも目立つ。特に10〜30代の若い層からの反応が活発で、ほっかほっか亭の新たなファン獲得につながりそうだ。
一方で「対応店舗はどこ?」という声も ポジティブな反応が多い一方で、「近所の店舗は対応してる?」「全国展開はいつ?」という現実的な疑問も多く寄せられている。サービスの認知度は急速に上がっているが、情報が届きにくい地域もあるようで、今後の告知・展開が注目される。
なぜ今、ほっかほっか亭がこの挑戦をするのか
持ち帰り弁当市場は近年、競争が激化している。コンビニ弁当の品質向上、デリバリーサービスの普及、スーパーの惣菜コーナーの充実——様々な選択肢が増えるなかで、「なぜほっかほっか亭を選ぶのか」という問いへの答えをより明確にする必要があった。
その答えのひとつが「自分だけの弁当がつくれる場所」という体験価値だ。価格と品質の競争だけではなく、「この店でしかできない体験」を提供することで、既存顧客のロイヤリティを高め、新規顧客を呼び込む戦略といえる。
また、人手不足や原材料費高騰が続く外食・中食業界において、カスタマイズモデルは「付加価値をつけながら客単価を上げる」手段としても有効だ。追加惣菜やたれの注文は、単品売上の底上げにもつながる。
ほっかほっか亭の挑戦は、お弁当の概念を変えるか
「カスタマイズ弁当」と「推し盛弁当」の本格始動は、単なる新サービスの追加にとどまらない。それは、長年”決まったものを買う場所”だった持ち帰り弁当店を「自分の食を組み立てる場所」へと変革する試みだ。
半世紀近く愛されてきたほっかほっか亭が、時代の変化に真摯に向き合い、顧客の声を形にした。その姿勢こそが、このサービスの最大の魅力かもしれない。
あなたが「こんな弁当があったらいいな」と思い描いていた理想の一食——それが今、ほっかほっか亭で現実になろうとしている。


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