あなたのスマホの番号、「090」や「080」から始まっていませんか?実はその番号、もうすぐ「古い番号」の仲間入りをするかもしれません。2026年7月以降、携帯電話番号に新たに「060」が加わることが、総務省によって正式に決定されました。
「なぜ今さら新しい番号が必要なの?」「060から電話がきたら詐欺?」「自分の番号はどうなるの?」そんな疑問を持つ方も多いはず。この記事では、060番号導入の背景から私たちの生活への影響まで、わかりやすく解説します。
060番号とは?導入が決まった経緯
2026年7月以降、NTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンク・楽天モバイルの各社が順次、060から始まる携帯電話番号の提供を開始します。
060番号は以前から「いざとなれば使う切り札」として温存されてきた番号帯です。もともとはFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス、つまり携帯を会社の内線としても使えるサービス向けに割り当てられていましたが、ほとんど普及しなかったため、大量の番号が未使用のまま眠っていました。今回の開放により、9,000万件もの新しい番号が追加され、携帯電話番号の総容量は3億6,000万件に達します。
なぜ番号が足りなくなったのか?枯渇の舞台裏
「日本の人口は約1億2,000万人なのに、なぜ番号が足りなくなるの?」と思う方もいるでしょう。その答えは、現代の私たちのスマホ事情にあります。
1999年、携帯電話番号が11桁に統一されたとき、使われた先頭番号は「090」のみでした。その後、スマートフォンの爆発的な普及に伴い、2002年に「080」が、2013年に「070」が追加されています。それでも追いつかなくなったのは、スマホが単なる「電話」ではなくなったからです。
スマホ2台持ちが当たり前の時代
今や1人が複数台のスマートフォンを持つことは珍しくありません。仕事用と私用でスマホを使い分ける会社員、親から子どもに持たせる家族向け端末、副業やフリーランスの連絡先として別番号を持つ人。さらには「iPhone(iOS)とAndroidの両方を使いたい」というガジェット好きも一定数います。
SIMカードを3枚持っているという人もいます。本業用、副業用、プライベート用で番号を分けていて「自分の番号を人に伝えるとき、どれを渡すか一瞬考える」とのこと。
こうした光景が日常になっているのが、現代日本の実情です。
IoTデバイスの急増も大きな要因
スマートウォッチ、GPS内蔵の子ども向け見守り端末、通信機能付きタブレット。これらのデバイスにもSIMカードが使われ、それぞれに番号が割り当てられます。スマートホームの普及や自動車のコネクテッド化も加わり、「番号を消費する機器」の数は人口をはるかに上回るペースで増え続けているのです。
実際、最後に追加された「070」番号の残りはわずか530万件にまで減少していました。このままでは数年以内に完全に枯渇するという危機感が、総務省を動かしたのです。
090・080番号は「古い番号」になるのか?
ここで気になるのが、「今持っている090や080の番号はどうなるの?」という点です。結論から言うと、現在使っている番号はそのまま使い続けられます。
総務省も「現在ご利用中の070/080/090番号は継続してご利用いただけます」と明言しています。
ただ、長い目で見ると「世代交代」が進んでいくのは間違いありません。過去を振り返れば、090番号は1999年登場の「第1世代」、080は2002年の「第2世代」、070は2013年の「第3世代」です。そして060が2026年から「第4世代」として加わります。
若い世代がこれから新規契約する場合、060番号が割り当てられるケースが増えていくでしょう。10〜20年後には、「090番号の人って、ずいぶん長く使ってるんだね」という会話が生まれるかもしれません。ちょうど今の「まだガラケーの番号(090)使ってるんですか?」という感覚に近いものが、将来は生まれてくる可能性があります。
060番号、詐欺じゃないの?という不安を解消する
060番号が導入されると予想される最初の混乱が、「見慣れない番号への不審感」です。これは過去の090→080→070の導入時にも起きた現象で、特に新番号が出始めた初期は「この番号、怪しくない?」という反応が広がりました。
注意すべき点がいくつかあります。まず、マレーシアの国際電話番号は「+60」から始まるため、海外からの着信と間違える人が出る可能性があります。また、大阪の市外局番「06」と紛らわしいという指摘もあります(ただし市外局番は10桁、携帯は11桁なので体系は異なります)。
しかし本質的なところでは、060番号は090や080と同じ正規の携帯電話番号です。番号を取得するには通信会社での本人確認が必要であり、詐欺師が使いやすい番号というわけでもありません。今後数年かけて社会に浸透していけば、違和感はなくなっていくでしょう。
企業・ビジネスへの影響は?
一般ユーザーへの影響が限定的である一方、企業によっては対応が必要になるケースもあります。
特に注意が必要なのは、電話番号の入力フォームを持つウェブサービスやアプリです。「携帯電話番号は070・080・090のみ」という前提でバリデーション(入力チェック)を設けている場合、060番号を入力すると「無効な番号」と弾かれてしまいます。ECサイトや会員登録フォーム、予約システムを運営する企業は、システム改修のスケジュールを今から検討しておく必要があります。
コールセンターや電話業務を多く扱う企業にとっても、060番号からの着信をどう識別・管理するかという課題が生じます。一方で多くの一般企業にとっては、大きな影響は発生しないというのが専門家の見立てです。
060番号は「ピンチをチャンスに変えた」日本の通信インフラ
2026年7月から始まる060番号の導入は、スマートフォン普及・多端末利用・IoT拡大という時代の変化が引き起こした、必然的な出来事です。1人で複数台のスマホを持ち、あらゆるデバイスがネットにつながる現代において、電話番号の枯渇は避けられない問題でした。
今持っている090・080番号が急に使えなくなることはありません。ただ、近い将来に060番号を持つ人や企業が増えてきたとき、「見慣れない番号だから怪しい」と思わずに対応できるよう、今から知識として持っておくことが大切です。
9,000万件もの新番号が追加されることで、日本の通信インフラはさらなる安定性を手に入れます。これは私たちの日常をさりげなく支える、地味だけど重要なニュースと言えるでしょう。


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