確定申告の期限が近づくと「今年は面倒だから出さなくてもいいかな」と考えてしまう方もいるかもしれません。しかし、確定申告をしないことには想像以上に大きなリスクが潜んでいます。本記事では、無申告のペナルティや税務署に発覚する仕組みについて、実態に基づいて詳しく解説します。
確定申告が必要なのはどんな人?
まず、自分が確定申告の対象かを確認しましょう。以下に該当する方は原則として申告義務があります。
給与所得者でも申告が必要なケース
- 給与収入が2,000万円を超える
- 副業などの給与以外の所得が20万円を超える
- 2カ所以上から給与を受けている
事業所得・不動産所得がある方
- フリーランスや個人事業主
- 不動産収入がある方
- 仮想通貨取引などで利益が出た方
申告義務があるにもかかわらず確定申告をしないと、様々なペナルティが課されます。
無申告のペナルティ①:無申告加算税
確定申告をしなかった場合、本来の税額に加えて「無申告加算税」が課されます。
無申告加算税の税率
- 納付すべき税額のうち50万円まで:15%
- 50万円を超える部分:20%
例えば、本来納めるべき税額が100万円だった場合、50万円×15%+50万円×20%=17万5,000円が加算されます。つまり合計117万5,000円を支払うことになるのです。
ただし、税務署から指摘される前に自主的に申告(期限後申告)をした場合は、無申告加算税が5%に軽減されます。気づいた時点ですぐに申告することが重要です。
無申告のペナルティ②:延滞税
確定申告の期限を過ぎると、納付期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて「延滞税」が発生します。
延滞税の計算方法
- 納期限の翌日から2カ月以内:年7.3%(または特例基準割合+1%のいずれか低い方)
- 納期限の翌日から2カ月超:年14.6%(または特例基準割合+7.3%のいずれか低い方)
延滞税は日割り計算されるため、放置する期間が長ければ長いほど金額が膨らみます。3年間放置すれば、本来の税額の3割以上が延滞税として加算されることも珍しくありません。
無申告のペナルティ③:重加算税
悪質と判断された場合、さらに重い「重加算税」が課されます。
- 無申告の場合:本来の税額の40%
- 過少申告の場合:本来の税額の35%
重加算税の対象となるのは、意図的に収入を隠したり、架空経費を計上したりといった悪質なケースです。単なる忘れとは異なり、脱税の意図があると判断されると、この重いペナルティが適用されます。
刑事罰の可能性も
税金の無申告は、単なる行政上のペナルティだけでは済まないケースもあります。
所得税法違反
- 5年以下の懲役または500万円以下の罰金(またはその併科)
悪質な脱税と判断されれば、刑事告発され、前科がつく可能性があります。実際に、高額所得者や著名人が無申告で逮捕されたニュースを見たことがある方も多いでしょう。
無申告はなぜバレる?税務署の情報網
「少額だからバレないだろう」と考えるのは危険です。税務署には様々な情報収集ルートがあります。
税務署が把握している情報
- 支払調書:企業が税務署に提出する報酬の支払い記録
- 法定調書:不動産取引、株式取引などの情報
- 銀行口座の入出金記録:税務調査で照会可能
- クレジットカードの利用履歴
- SNSや広告:生活水準や事業活動の実態
特にフリーランスの方は、取引先企業が支払調書を税務署に提出しているため、収入が捕捉されやすい状況にあります。また、不動産を購入したり、高額な買い物をしたりすると、その資金源について税務署が関心を持つきっかけになります。
近年では、仮想通貨取引所やフリマアプリとも情報連携が進んでおり、デジタル取引も監視の対象となっています。
無申告がバレるタイミング
税務署は、すぐには指摘してこないこともあります。数年分をまとめて調査し、一気に追徴課税するケースも少なくありません。
一般的に、税務調査が入りやすいタイミングは以下の通りです。
- 確定申告期限から1〜3年後
- 事業規模が急拡大したとき
- 高額な不動産や車を購入したとき
- 内部告発や取引先の税務調査がきっかけ
「今までバレていないから大丈夫」ではなく、「いつバレてもおかしくない」と考えるべきです。
無申告に気づいたらすぐに対処を
もし確定申告をしていないことに気づいたら、できるだけ早く期限後申告を行いましょう。
自主申告のメリット
- 無申告加算税が15%→5%に軽減
- 悪質性が低いと判断され、重加算税を回避できる
- 刑事罰のリスクが大幅に減少
税理士に相談すれば、過去の収支を整理して適切に申告することができます。費用はかかりますが、ペナルティを最小限に抑えられるため、結果的に節約になるケースがほとんどです。
確定申告しないことの隠れたデメリット
金銭的なペナルティ以外にも、無申告には様々なデメリットがあります。
社会的信用の喪失
- 住宅ローンや事業融資の審査に通らない
- 賃貸契約で所得証明が提出できない
- 保育園の入園審査で不利になる
- 各種補助金・給付金が受けられない
確定申告書の控えは、所得を証明する重要な書類です。これがないと、様々な場面で不利益を被ることになります。
確定申告は義務であり権利
確定申告をしないことは、最大で本来の税額の倍以上を支払うリスクがあります。無申告加算税15〜20%、延滞税、さらに悪質と判断されれば重加算税40%が加算され、最悪の場合は刑事罰も科されます。
税務署の情報網は年々強化されており、「少額だからバレない」という考えは通用しません。支払調書、銀行口座、デジタル取引など、あらゆる経路から所得が捕捉される時代です。
もし申告していないことに気づいたら、一刻も早く期限後申告を行いましょう。自主申告であればペナルティが大幅に軽減されます。また、確定申告は納税義務であると同時に、所得を証明し、社会的信用を得るための重要な手続きでもあります。
面倒に感じるかもしれませんが、将来のリスクを考えれば、きちんと申告することが最も賢明な選択です。不安な方は税理士や税務署の相談窓口を活用し、正しい申告を心がけましょう。


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