三崎優太が、電力業界に起きた新たな挑戦!
青汁王子として知られる実業家の三崎優太氏が、でんき0株式会社のCEOとして電力事業に本格参入し、「でんき0革命」と銘打った新サービスを開始しました。電気代高騰に悩む国民に向けて蓄電池や太陽光発電の導入により自家消費を最大化させ、余剰電力を国よりも高く20年間買い取るというビジネスモデルを打ち出しています。
果たしてこのビジネスは成功するのでしょうか。電力市場の専門家の視点も交えながら、冷静に分析していきます。
「でんき0」の仕組みとは
ビジネスモデルの核心
このサービスは蓄電池や太陽光発電の導入によって自家消費を最大化させ、余剰電力については「でんき0」が国よりも高く20年間買い取るというものです。太陽光パネルと蓄電池を各家庭に売る事業であり、新電力会社ではありません。
具体的には以下の4つのサービスを提供しています。
- 非FIT電力20年間買取サービス:未認定の太陽光発電設備からの余剰電力を長期契約で買い取る
- 卒FIT電力20年間買取サービス:FIT期間終了後の余剰電力を継続して買い取る
- 環境価値買取サービス:自家消費で得られた環境価値をJ-クレジットとして買い取る
- くらしゼロでんきプラン:毎日12時から13時までの1時間、電気代が0円になるプラン
実態は太陽光パネル販売事業
公式サイトを見ると新電力サービスではなく、太陽光パネルと蓄電池を各家庭に売る事業です。公式サイトには補助金も使えるとあるが、肝心の設備価格は書いていないという指摘もあり、初期投資額の不透明さが課題となっています。
一般的に太陽光パネル5kWと蓄電池8〜10kWhのセットで200〜300万円が相場で、補助金を使えば100万円以上安くなることもあるとされています。
成功の可能性を左右する3つのポイント
1. 初期投資の回収期間
太陽光発電ビジネスで最も重要なのは投資回収期間です。産業用太陽光発電の表面利回りは平均約10%で、10年間で初期投資額を回収できるとされていますが、これはFIT制度が適用される場合の話です。
「でんき0」のモデルでは、設備費用が200〜300万円かかるとすると、余剰電力の買取価格次第で回収期間が大きく変わります。仮に買取価格がFITより有利でも、自家消費が最大化されれば売電量自体が減るため、収益のバランスが重要になります。
2. 買取価格の持続可能性
三崎氏は「国よりも高く買い取る」と宣言していますが、この買取を20年間継続できるかが最大の焦点です。
電力市場は変動が大きく、電力価格が一晩で数倍に変動することすらあり、市場の不確実性は大きなチャンスを生む一方で大きな損失も招きかねないとされています。
系統用蓄電池事業の収益性について、プロジェクトIRRは-6%から+5%程度で、現状コストと価格前提では補助金なしで高い収益性を上げるのは容易でないという分析もあります。家庭用の小規模な蓄電池で、さらに高値での買取を約束するビジネスモデルが本当に採算が取れるのか、疑問が残ります。
3. 実務を担う企業の信頼性
でんき0株式会社のCEOは三崎氏だが、実務は日本エネルギー総合システム株式会社が担うとされています。香川県高松市に本社を置く太陽光発電の販売・施工会社で、売上高105億円、従業員145名の2013年設立の中堅企業であり、実績のある企業が関わっていることは安心材料です。
しかし、三崎氏は広告塔として、SNSの発信力で集客し、販売・施工は日本エネルギー総合システムとFC加盟店が行うというフランチャイズモデルには、品質管理の面で課題があるかもしれません。
ビジネスとしての勝算は?
プラス要因
- タイミング:電気代高騰により、98%の人が電気代は高いと答えるなど、国民の関心は非常に高い状況です
- 再エネ需要の拡大:2050年カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーの導入は今後も推進されます
- 三崎氏の発信力:青汁王子として知られる三崎氏のSNSフォロワーは膨大で、集客力は確実にあります
- 補助金の活用:国や自治体の補助金を活用することで、初期投資を抑えられる可能性があります
マイナス要因
- 収益モデルの不透明性:「国より高く買い取る」という約束を20年間維持できる根拠が明確でない点が最大の懸念です
- 初期投資の高さ:200〜300万円という初期投資は一般家庭にとって大きな負担であり、万が一採算が合わなかった場合のリスクも大きくなります
- 市場環境の変動:容量市場や需給調整市場の運営ルール、再エネ出力制御のガイドラインなどは数年単位で改正・更新が行われるため、制度変更によってビジネスモデルが影響を受けるリスクがあります
- 限定的な恩恵:平日の昼に家にいる人がどれだけいるか。会社員は仕事中、子どもは学校。在宅ワーカーか専業主婦世帯でなければ恩恵は薄いという指摘もあり、ターゲット層が限られる可能性があります
専門家の見方と市場動向
蓄電池事業について、初期投資がこれだけ高額な系統用蓄電池を現時点で事業として回そうとすると、いくつもの収入先を確保しなければ難しいとされており、これだけ揃えても収益を上げるのはかなり大変というのが多くの現状認識です。
ただし、高い収益性を追求するためには市場と制度に対する深い理解、設備運用のノウハウ、そして変化に適応する柔軟な戦略が求められるため、専門企業と提携している点はプラスに働く可能性があります。
結論:成功のカギは「透明性」と「持続性」
「でんき0」が成功するかどうかは、以下の3点にかかっています。
- 買取価格の根拠を明確に示せるか:20年間の高値買取を約束する財務的裏付けを公開し、ユーザーの信頼を得られるかが重要です
- 初期投資額と投資回収期間の透明化:具体的な費用とシミュレーションを提示し、消費者が判断できる情報を提供する必要があります
- 市場変動への対応力:電力市場や制度変更に柔軟に対応できる事業体制を構築できるかが長期的な成功の鍵です
三崎優太氏の発信力と行動力は確かに魅力的ですが、電力事業は長期的な視点と専門性が求められる分野です。「革命」という言葉の裏に、確かなビジネスモデルと持続可能な収益構造があるかどうか。今後の展開を注視していく必要があるでしょう。
消費者としては、魅力的な謳い文句に飛びつく前に、詳細な見積もりを取り、複数の業者と比較し、投資回収のシミュレーションを慎重に検討することが賢明です。「でんき0」というキャッチフレーズが実際にどれだけの経済的メリットをもたらすのか、冷静な判断が求められます。


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