強面俳優の意外な過去、竹内力は元銀行マン
Vシネマの帝王として知られる俳優・竹内力。その強面なイメージから想像もつかないが、高校卒業後の2年間、実は銀行員として働いていた経歴を持つ。
今回は、竹内力の銀行員時代のエピソードと、その経験が代表作「ミナミの帝王」にどう活かされたのかを詳しく紹介する。
三和銀行淡路支店への就職と型破りな銀行員スタイル
担任の推薦で大阪へ
竹内力は1964年1月4日、大分県佐伯市に生まれた。大分県立佐伯豊南高校商業科を卒業後、1982年に高校の担任教師の推薦により、地元大分から大阪へ出て三和銀行淡路支店に就職した。現在の三菱UFJ銀行淡路支店である。
高校時代はサッカー部に所属し、決して裕福ではない家具職人の父のもとで育った竹内は、人を笑わせることが得意な明るい少年だったという。
リーゼント姿で通勤する異色の銀行員
銀行員となってからも、竹内は革ジャンを着て通勤し、リーゼントヘアスタイルを貫き、袖をまくって仕事をしていた。さらに驚くべきことに、お客様への挨拶も「いらっしゃいませ」ではなく「へい、らっしゃいませ」という独特なスタイルだった。
当時の銀行業界では考えられない型破りなスタイルだが、これが後に竹内力のトレードマークとなる個性の原点だったのかもしれない。
定期預金契約数全国1位の驚異的な営業成績
女性客が殺到した窓口業務
竹内は普通預金の窓口業務を担当していたが、その抜群のルックスと独特の魅力により、銀行内でも非常に目立つ存在だった。
当時3つあった普通預金の窓口のうち、竹内の窓口だけに常に女性客の行列ができ、他の2つの窓口は空いているという状態だった。他の支店の女性行員が噂を聞きつけて、わざわざ竹内を見に来るほどの人気ぶりだったという。
営業の秘訣は親しみやすさ
竹内の営業スタイルは、とにかく利用客に親しげに話しかけることだった。型破りな外見とは裏腹に、その人懐っこさと真摯な対応が顧客の心を掴んだ。
結果として、定期預金の契約件数で全国1位という好成績を収めた。竹内自身も後年「銀行に限った話じゃないが、リーゼントでも結果を出せば文句を言われない」と語っている。
2年で退職、そして東京へ
将来への不安と上京の決断
しかし、華々しい営業成績とは裏腹に、竹内の心には将来への不安があった。高卒では支店長になれないという現実、利息などの金融の仕組みへの理解不足から、次第に仕事に面白さを感じられなくなっていったという。
そんな時、東京で暮らす先輩から「東京は面白いぞ」と聞かされ、竹内は新しい世界に飛び込む決意をする。芸能界を目指していたわけではなく、「どこかで成り上がってやろう」という強い意志があったと本人は語っている。
約2年間の銀行員生活を経て退職した竹内は、銀行員時代に貯めた30万円を持ってバイクで上京した。その後、ライブハウスでウェイターのアルバイトをしていたところを芸能事務所にスカウトされ、1986年に映画デビューを果たすこととなる。
「ミナミの帝王」と銀行員時代の札勘定技術
Vシネマの金字塔を支えた実務経験
1992年から2007年にかけて制作された「難波金融伝・ミナミの帝王」シリーズは、竹内力の最大のヒット作となった。大阪・ミナミで金融業を営む萬田銀次郎を演じた竹内は、まさにはまり役だった。
このシリーズで竹内の演技に独特のリアリティを与えたのが、銀行員時代に身につけた札勘定の技術である。竹内自身も「銀行員時代に習得した札勘定の技術が、代表作『ミナミの帝王』で大いに役立った」と語っている。
美しい札勘定が作品に説得力を与える
劇中で萬田銀次郎がお札を数えるシーンは、視聴者に強い印象を残した。縦読み、横読みといった専門的な札勘定の技術を駆使する竹内の手さばきは、単なる演技ではなく、実務経験に裏打ちされた本物のスキルだった。
この札勘定の美しさが、金融業者という役柄に説得力を与え、作品全体のクオリティを高めることに貢献した。実際に銀行で窓口業務を経験していなければ、あれほど自然で流麗な札勘定はできなかっただろう。
銀行員から俳優へ、異色のキャリアパス
意外な前職ランキング1位
竹内力の銀行員という前職は、多くの人にとって意外な事実として受け止められている。株式会社CMサイトが実施した「前職が意外な芸能人ランキング」では、竹内力の銀行員経験が堂々の1位に選ばれた。
強面でヤクザ映画のイメージが強い俳優が、実は堅実な銀行員だったというギャップが、多くの人々の興味を引いたのである。
銀行員時代の経験が俳優人生の礎に
竹内力の銀行員時代は、わずか2年間という短い期間だった。しかし、その経験は俳優としてのキャリアに大きな影響を与えた。
顧客との対話を通じて培ったコミュニケーション能力、結果を出すために努力する姿勢、そして何よりも札勘定という具体的なスキル。これらすべてが、後の俳優人生において貴重な財産となった。
型破りな銀行員から国民的俳優へ
竹内力の銀行員時代は、彼のキャリアの中でも特筆すべき期間だった。リーゼント姿で銀行に通勤し、型破りなスタイルでありながら全国トップの営業成績を残す。その個性と実力は、まさに竹内力という人物を象徴している。
三和銀行淡路支店での2年間の経験は、代表作「ミナミの帝王」における札勘定のシーンに活かされ、作品に独特のリアリティを与えた。銀行員から俳優という異色のキャリアチェンジを果たした竹内力だが、その原点にあるのは「どこかで成り上がってやろう」という強い意志だった。
現在も第一線で活躍する竹内力。その活躍の裏には、若き日の銀行員時代に培った経験とスキルが確実に息づいている。強面な外見とは裏腹に、人懐っこく真摯に仕事に向き合う姿勢。それこそが、竹内力という俳優の真の魅力なのかもしれない。


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