交野市が「おこめ券配布しません」と明言した理由とは
2025年11月、政府が物価高対策として推進する「おこめ券」配布について、大阪府交野市の山本景市長が「配布しません」と明確に宣言し、大きな話題を呼んでいます。この決断の背景には何があるのでしょうか。市民はどう受け止めているのか。ネット上の反応を含めて詳しく解説します。
おこめ券とは?政府が推進する物価高対策の実態
おこめ券は、政府が物価高騰対策として自治体に配布を推奨している商品券です。コメの価格が高騰する中、全国農業協同組合連合会(JA全農)や全国米穀販売事業共済協同組合が発行する券を、各自治体が住民に配布する仕組みです。
おこめ券の基本情報
- 額面:1枚440円(購入価格500円)
- 用途:お米やその他食料品の購入
- 配布方式:自治体の判断による
- 推奨金額:1人あたり3,000円程度
政府は重点支援地方交付金2兆円のうち、食料品価格上昇対応として4,000億円を確保し、おこめ券配布を促しています。東京都台東区や埼玉県秩父市など、すでに30以上の自治体が独自に配布を開始しています。
交野市長が「おこめ券配布しません」と断言した2つの理由
山本景市長は11月28日、X(旧Twitter)で交野市がおこめ券を配布しない理由を明確に説明しました。
理由1:経費率の高さ – 市民への還元率が低い
市長によれば、おこめ券の経費率は12%(JA全農または全国米穀販売事業共済協同組合)、さらに郵送等事務手数料として約8%(郵便局等)がかかると指摘しています。つまり、合計で約20%もの費用が券の発行や配布の事務経費に消えてしまう計算です。
これに対し、山本市長が提案する代替案は:
- 上下水道基本料金免除:経費率約1%
- 給食無償化:経費率0%
交野市が受領予定の重点支援地方交付金は約5億円。この財源を、経費率の低い施策に充てることで、より多くの市民に直接的な支援を届けられるというのが市長の主張です。
理由2:今高い米を無理して買う必要はない
山本市長は「今高い米をムリして買う必要はない」とも述べています。コメの価格が高騰している現状で、おこめ券を配布してもコメ1袋も買えない金額では、根本的な解決にならないという考えです。
むしろ、上下水道の基本料金を免除したり、給食を無償化することで、家計全体の負担を軽減する方が効果的だと判断したのです。
「農林水産大臣には屈しません」- 市長の強い決意
山本市長は29日の投稿で「私は市民を見ながら、使い方を決めますから、経費率0%の給食無償化、経費率1%の上水道基本料金免除と下水道基本料金免除に使い、より多く市民に配ります。農林水産大臣には意地でも屈しません」と宣言しました。
この発言は、国の推奨メニューに従うのではなく、地方自治体として独自の判断で市民のために最善の施策を選ぶという強い意志の表れです。山本市長は以前にも大阪万博の子ども無料招待事業で、吉村洋文知事に対し費用負担の問題を指摘したことがあり、国や府の方針に迎合しない姿勢で知られています。
交野市長・山本景氏とは?改革派市長の実績
山本景市長は2022年9月、自民・立憲・公明・国民の推薦を受けた現職を破り初当選した、42歳(当時)の若手市長です。
山本市長の主な改革実績
- 給食無償化の実現(北河内7市で最速)
- 市長の退職金廃止、報酬削減
- 基金運用で年間5,000万〜1億円の収益創出
- 公用車や市長机のオークション売却
- 小中学校トイレの全面改修(補助金活用)
- コミュニティバス「おりひめバス」運行開始
山本市長は元IT企業経営者で、信金中央金庫、野村証券勤務を経て政界入り。大阪府議、交野市議を経験し「みんなでつくる、みんなの交野」をスローガンに市政運営にあたっています。財政が厳しい中でも、民間企業での経験を活かした効率的な市政運営で注目を集めています。
ネットの反応 – 賛否両論が巻き起こる
山本市長の「おこめ券配布しません」宣言に対し、ネット上では様々な反応が見られます。
賛成派の意見
「経費のムダを省く合理的な判断」
ネット掲示板やSNSでは、市長の判断を支持する声が多数見られます。
「だよな、発想がおかしいもの高くて買えないものを無理やり買えば価格は下がらないことになる、コメの需要を減らすのが正しい方法だから」という意見や、「経費率20%は確かに高すぎる。水道料金免除の方が市民のためになる」といった、市長の経済合理性を評価するコメントが目立ちます。
「地方自治の本来の姿」
「国の言いなりにならず、自治体独自の判断をするのが地方自治の本来の姿」「交野市民がうらやましい。こういう市長がいる自治体に住みたい」といった、地方分権の観点から評価する声も多く見られます。
慎重派・疑問の声
「おこめ券がほしい市民もいるのでは」
一方で、「コメをよく食べる家庭にとっては、おこめ券も助かるのでは」「選択肢を与えてほしかった」という意見もあります。特に大家族や高齢者世帯からは、直接的なコメ支援を望む声もあるようです。
「他の自治体との比較」
「台東区では実際に配布されて喜んでいる人もいる」「他の市はもらえるのに交野市だけもらえないのは不公平では」という声も一部にあります。
市民の本音 – 交野市民はどう思っているのか
交野市民の反応については、直接的な市民インタビューは限られていますが、過去の市政運営から見える市民の傾向を分析できます。
山本市政への信頼
山本市長は2022年の市長選で、自民・立憲・公明・国民という主要政党すべての推薦を受けた現職候補を破って当選しました。これは市民が「市民の声を聞かない市政」に対して明確に「ノー」を突きつけた結果と言えます。
前市長時代に廃止された「ゆうゆうバス」の復活を公約に掲げ、実際にコミュニティバス「おりひめバス」を実現させるなど、市民の声に応える姿勢が評価されています。
給食無償化など実績への評価
中学校給食の恒久無償化を北河内7市で最も早く実現したことや、上下水道料金の免除など、直接的な家計支援策を次々と実施してきた実績があります。今回のおこめ券についても、市民の多くは「市長が市民のために最善の判断をしてくれている」と受け止めている可能性が高いと考えられます。
おこめ券問題の本質 – 物価高対策のあるべき形とは
交野市のおこめ券不配布問題は、単なる一自治体の判断を超えて、物価高対策のあるべき形を問う重要なテーマを提起しています。
経費率の問題
おこめ券の経費率約20%という数字は、決して小さくありません。5億円の交付金のうち1億円が事務経費に消えるとすれば、その是非を問うのは当然でしょう。効率的に市民に還元できる方法を模索することは、自治体の責務です。
画一的な支援か、地域特性に応じた支援か
政府が全国一律に「おこめ券」を推奨する方式と、各自治体が地域の実情に応じて最適な支援策を選択する方式、どちらが望ましいのか。交野市の事例は、後者の重要性を示しています。
短期的支援と持続的支援
おこめ券のような一時的な支援と、給食無償化や水道料金免除のような継続的な支援、どちらが本当に市民のためになるのか。交野市は後者を選択しました。
まとめ – 交野市の決断が示す地方自治の可能性
交野市の山本景市長による「おこめ券配布しません」宣言は、地方自治体が国の方針に盲従するのではなく、独自の判断で市民のための最善策を選択する姿勢を明確に示しました。
ポイント整理
- 経費率20%の問題:券の発行・配布に多額の事務経費がかかる
- 代替案の提示:経費率0〜1%の給食無償化・水道料金免除を選択
- ネットの反応:賛同する声が多数、一部に慎重な意見も
- 市民の信頼:過去の実績から市長への信頼は厚いと推測される
- 物価高対策の本質:効率的で持続的な支援のあり方を問う
交野市の事例は、全国の自治体にとって一つの参考モデルとなる可能性があります。今後、他の自治体がどのような選択をするのか、そして市民がどう評価するのか、注目が集まります。
「農林水産大臣には屈しません」という言葉に象徴されるように、地方自治の本来の姿を体現する交野市の挑戦は、日本の地方自治の未来を考える上で重要な一石を投じています。


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