格闘技界の異端児が語る「真のプロフェッショナル」とは
RIZINを代表する注目ファイター・平本蓮。そのストレートすぎる物言いと圧倒的な存在感で格闘技界を賑わせる彼が、近年明かした「ファイトマネー哲学」が話題を呼んでいる。スポンサー収入に頼らず、リング上での勝負だけで生計を立てる——それは平本蓮が貫く、戦う者としての矜持だ。
平本蓮のファイトマネー事情、スポンサーに頭を下げることを嫌うエピソード、そして「格闘技のみで金を稼ぐ」という揺るぎない信念について深掘りする。
平本蓮のファイトマネー変遷:150万円から数億円へ
キャリア初期の厳しい現実
平本蓮がRIZINで受け取ってきたファイトマネーは、キャリアとともに劇的な変化を遂げている。2022年7月の鈴木千裕戦では、PPV売上3000万円に対して自身の取り分はわずか150万円(5%)だったと自らSNSで暴露。この金額に対して平本は不満を表明し、格闘技界のファイトマネー事情に一石を投じた。
当時の平本は、K-1時代の経験も踏まえて「20万のファイトマネーで満足してしまう選手が多すぎる」と業界全体の問題点を指摘。プロとアマチュアの違いを明確にし、「まともな人生を送れない金額で満足するならプロを名乗るべきではない」と厳しい見解を示していた。
超RIZIN.3での破格のファイトマネー
しかし、2024年7月の超RIZIN.3における朝倉未来戦で状況は一変する。平本自身が「UFCの王者クラスより遥かに高い額」「世界中の総合格闘家で俺の今回のファイトマネーほど貰っている奴はいるのか」と語るほどの高額ファイトマネーを獲得した。
正確な額は明かされていないが、同規模のPPV売上を記録したTHE MATCHでメイン選手が受け取った「数億円前後+PPVボーナス」と同等ではないかと推測されている。4万8117人を動員し、RIZIN史上最高のPPV売上を記録したこの試合は、平本の市場価値を証明する結果となった。
「スポンサーに頭を下げない」という信念
プロフェッショナルの定義
平本蓮が最も重視するのが「ファイトマネーのみで生活する」という姿勢だ。彼は独占インタビューの中で、この信念について熱く語っている。
「スポンサーに世話になるって、普通のサラリーマンがペコペコ頭を下げてるのと変わらないじゃないですか。本当に勝負して、ファイトマネーだけで生活していることに俺は誇りがあるんですよ」
この発言には、格闘家としての自立とプライドが色濃く表れている。平本にとって、スポンサー収入に依存することは、戦う者としての純粋性を損なう行為なのだ。
RIZINで唯一無二の存在
平本は「ファイトマネー1本で勝負してるのはRIZINだと俺と朝倉未来以外は絶対にいない」と断言する。多くのRIZINファイターが「金持ちアピール」をしているが、その収入源の大半はスポンサー費だと指摘。自身の高額納税の実績を示しながら、それがすべてファイトマネーによるものだと強調した。
この姿勢は、格闘技界では極めて稀有なものだ。通常、トップファイターでさえパンツスポンサーや企業契約で収入を補完するのが一般的。しかし平本は「スポンサーで稼ぐこともできるけど、自分の中の”プロ”の考えを大事にしたい」として、あえてその道を選ばない。
格闘技のみで稼ぐという美学
「ファイトマネーで稼ぐことが最もカッコいい」
平本は自身の哲学をこう表現する。「副業やスポンサーから貰うお金ではなく、ファイトマネーで稼ぐ。格闘家としてこれほどカッコいいものはない」
この言葉には、戦う者としての純粋な美学が込められている。リングに上がり、拳で勝負する——その対価としてのファイトマネーこそが、格闘家の真の価値を示すものだという信念だ。
キックボクシング界への警鐘
平本がこの哲学を持つに至った背景には、キックボクシング時代の経験がある。2020年、彼はキックボクシングの未来について「キック界は潰れる。選手が金銭的にも続けられるかどうかすら分からない」と発言。ファイトマネーだけで生活できない現状を問題視し、総合格闘技への転向を決意した。
「プロ格闘家を名乗るなら、ファイトマネーを稼ぐにはどうするか考えないとダメ」という平本の主張は、格闘技界全体が抱える構造的問題への挑戦状でもある。
YouTubeやアパレルとの関係性
興味深いのは、平本がスポンサー収入は拒否する一方で、YouTubeやアパレル事業には積極的に取り組んでいる点だ。これは一見矛盾しているようにも見えるが、平本の中では明確な線引きがある。
YouTubeやアパレルは、自らの手で作り上げた事業であり、企業に頭を下げて得る収入ではない。格闘家としてのブランド価値を活かした自立的なビジネスであり、スポンサー依存とは本質的に異なるというわけだ。
登録者数約13万人のYouTubeチャンネルや、数千万円規模のアパレル事業は、平本の多面的な才能を示している。しかし彼が誇りとするのは、あくまでもファイトマネーによる収入なのだ。
ファイトマネー暴露がもたらした変化
2022年の150万円ファイトマネー暴露は、当初「干されるのでは」とファンを心配させた。しかしRIZIN側からの処分はなく、むしろ平本の集客力と話題性が評価される結果となった。
この暴露は、格闘技界のファイトマネー問題に光を当てた。選手の待遇改善や、適正な利益配分についての議論が活発化し、RIZIN榊原CEO自身も「適正な利益の配分がないと健全な発展はない」とコメントするに至っている。
平本の率直な発言は、業界全体を動かす力を持っていた。それは彼が単なる「炎上系ファイター」ではなく、実力と影響力を兼ね備えた存在である証だ。
「プロとは何か」を問い続ける姿勢
平本蓮の信念の根底にあるのは「プロとは何か」という問いだ。彼にとってプロフェッショナルとは、自らの技術と勝負で正当な報酬を得る者のこと。スポンサーに依存せず、ファイトマネーだけで生計を立てることこそが、真のプロ格闘家の在り方なのだ。
「ファイトマネーで稼ぐことが戦う上での一番のモチベーション」「プロはいくら稼いでなんぼ」という平本の言葉は、格闘技を単なるスポーツではなく、人生を賭けた勝負事として捉える彼の姿勢を表している。
この哲学は、若手格闘家たちにも影響を与えている。安易にスポンサー収入に頼るのではなく、自らの価値を高めてファイトマネーを上げていく——そんな新しいプロ意識が、平本の発信によって広がりつつある。
平本蓮が示す格闘家の未来像
平本蓮のファイトマネー哲学は、格闘技界に新しい価値観をもたらしている。スポンサーに頭を下げることを拒否し、リング上での勝負のみで稼ぐ——その姿勢は、時に過激に映るかもしれない。
しかし、そこには格闘家としての純粋な矜持がある。戦う者としての誇りを守り、真のプロフェッショナルであり続けようとする強い意志がある。
150万円から数億円へ。平本蓮のファイトマネー変遷は、彼の市場価値の上昇を示すだけでなく、一貫した信念を貫いた結果でもある。格闘技のみで生きる——その覚悟こそが、平本蓮を唯一無二のファイターにしているのだ。
格闘技界が抱える構造的な問題に真正面から挑む平本蓮。彼の生き方は、次世代の格闘家たちに新しい道を示している。それは、スポンサーに依存せず、自らの実力で道を切り開く、真のプロフェッショナルとしての在り方なのだ。


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