格闘家人生を左右した右手の怪我
格闘技ファンなら誰もが知る総合格闘家・朝倉未来。RIZINのリングで華麗な打撃を見せる彼だが、実は右拳に深刻な爆弾を抱えながら戦い続けている事実をご存知だろうか。
朝倉未来は過去に右手を骨折し、ボルトが12本入った。この事実は、彼のファイトスタイルを大きく変える転機となった。本記事では、朝倉未来の右拳にボルトが入っている理由、手術の時期、そして試合への影響について詳しく解説していく。
なぜ右拳にボルトを入れることになったのか
THE OUTSIDER時代からの蓄積ダメージ
朝倉未来のキャリアは、アマチュア格闘技団体「THE OUTSIDER」から始まった。2013年に参戦を開始し、2015年には史上初の2階級制覇という偉業を達成している。
THE OUTSIDER時代、朝倉は右利きのオーソドックススタイルで戦っていた。OUTSIDER時代の戦績を見ると8戦目以降は5試合中4試合が右フックがきっかけでKOしている。強烈な右の打撃を武器にしていた朝倉だったが、その代償として右手には大きなダメージが蓄積されていったのだ。
骨折と12本のボルト固定手術
具体的な手術時期については、THE OUTSIDER時代からRIZIN参戦初期の間に行われたと推測される。右手はボルトが12本入っていて痛くて握れないという状態になってしまった。
骨折した拳を固定するため、12本ものボルトを入れる手術を受けることになった朝倉。この手術は、格闘家としての彼のキャリアに大きな転換点をもたらすことになる。
サウスポーへのスタイル変更という決断
右ストレートが打てなくなった現実
ボルト手術後、朝倉は深刻な問題に直面した。ボルトが12本入ったことで右ストレートを強く打てなくなり、サウスポーに切り替えたのだ。
これは格闘家にとって致命的な状況である。右利きの選手が利き手で強打できないという制約は、戦術の根幹を揺るがす問題だ。しかし朝倉は、この逆境をチャンスに変える柔軟性を見せた。
サウスポー転向のメリット
右利きサウスポーというスタイルは、実は戦術的なメリットも持っている。右利きサウスポーの選手は、利き手である右手でジャブを打つことができ、高い精度で動かせる右手でジャブを打てるので有利とされる。
また、サウスポー対オーソドックスの対戦では、出会い頭に右のカウンターフックが入りやすい。朝倉のような右利きサウスポーなら、利き手でそのカウンターを打てるため、より重いパンチになるのだ。
試合への影響と限界との戦い
ボルトが飛び出すほどの負担
右手のボルトは、朝倉の格闘家人生を常に脅かし続けている。2024年11月には「ボルトが出始めてて、これも治せないって言われてる。これ抜いちゃうと、また1年ぐらいできなくなっちゃうから、もう格闘人生も長くないんで、拳壊れても、もう行ったろうかなと思ってる」と自身のYouTubeで語っている。
ボルトが皮膚から飛び出しそうになるという状況は、医学的にも非常に深刻だ。通常、骨折のボルト固定後は抜釘(ばってい)という、体内に入れたボルトを取り除く手術を行う。しかし朝倉の場合、抜釘すると約1年間試合ができなくなるため、痛みを抱えたまま戦い続けるという選択をしているのだ。
左手にも爆弾を抱える過酷な現実
状況はさらに厳しい。2021年に斎藤裕選手との対戦で左手も自らのパンチが原因により完治に時間がかかる怪我を負った。つまり、両方の拳に問題を抱えながら戦っているのが現状なのだ。
格闘家にとって拳は最大の武器。その両方に爆弾を抱えながら戦い続けることは、常に痛みとの闘いを意味する。にもかかわらず、朝倉はトップファイターとして活躍し続けている。
試合中のパフォーマンスへの影響
右手のボルトによる制約は、試合中のパフォーマンスにも影響を与えている。オーソドックススタイルからサウスポーへの転向は、単なるスタイル変更ではなく、物理的な制約に対する適応だった。
しかし朝倉は、この制約をものともせず、RIZIN参戦後も多くの勝利を重ねてきた。2018年のRIZIN初参戦以降、日沖発、カルシャガ・ダウトベック、ルイス・グスタボ、矢地祐介といった強豪を次々と撃破。右手の制約がありながらも、卓越した格闘センスと戦術眼で勝利を積み重ねてきたのだ。
朝倉未来の驚異的な回復力
朝倉一族には、驚異的な回復力があることも知られている。弟の朝倉海も骨折からの回復が異常に早いと医師を驚かせた経験がある。約3週間でほぼ骨がくっついたことは、医者も驚く回復力だったという。
この遺伝的な回復力の高さが、朝倉未来が右手にボルトを抱えながらも戦い続けられている一因かもしれない。
今後の格闘家人生への影響
「ボルトが出始めてて、治せないって言われている。拳壊れても、もう行ったろうかなと思ってる」という発言からは、朝倉が自身の格闘家人生の終わりを意識していることが伺える。
右手のボルトは取り除くこともできず、かといって抱えたままでは皮膚を突き破る危険性がある。この二律背反的な状況の中で、朝倉は一試合一試合を最後のつもりで戦う覚悟を持っているのだ。
痛みと共に歩む格闘家の覚悟
朝倉未来の右拳には12本のボルトが入っており、THE OUTSIDER時代の激闘による骨折が原因だった。この怪我により右ストレートを強く打てなくなり、サウスポーへのスタイル変更を余儀なくされた。
しかし、朝倉はこの逆境を乗り越え、右利きサウスポーという独自のスタイルでRIZINのトップファイターとして君臨し続けている。両手に爆弾を抱えながらも、高い技術と戦術眼で勝利を重ねる姿は、真の格闘家としての覚悟を感じさせる。
ボルトが皮膚を突き破りそうな状態でも、「拳が壊れても行く」という言葉には、格闘家としてのプライドと、ファンへの想いが込められている。
朝倉未来の右拳のボルトは、怪我の痕跡ではない。それは、彼が歩んできた格闘家人生の証であり、限界を超えて戦い続ける覚悟の象徴なのだ。



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