「浪速のジョー」が稼いだ破格のファイトマネー
1990年代、日本ボクシング界を熱狂の渦に巻き込んだ辰吉丈一郎。「浪速のジョー」の愛称で親しまれた彼の全盛期のファイトマネーは、現在のボクサーと比較しても桁違いの金額でした。
1994年12月に行われた薬師寺保栄との世界バンタム級王座統一戦では、ファイトマネーが1億7000万円に達したといわれています。この試合は日本ボクシング史上初の日本人同士による世界王座統一戦として注目を集め、関東地区の視聴率は平均39.4%、瞬間最高視聴率は65.6%という驚異的な数字を記録しました。
一試合のファイトマネーは通常のノンタイトル戦でも2000万円程度だったとされ、タイトル戦を20回ほど行った辰吉は、キャリア全体で5億円近い金額を稼いだと推定されています。
現在の収入源と生活状況
2025年現在54歳になる辰吉丈一郎ですが、2009年3月にタイで行った試合を最後に実戦から遠ざかっており、ボクシングの試合自体が収入源にはなっていません。現在の収入源として考えられるのは、以下のようなものです。
不定期な仕事依頼
企業からの依頼による講演やイベント出演、メディア露出などの仕事を不定期でこなしていますが、その頻度は決して多くありません。2024年にはデビュー35周年を記念してフリマサイトやセレクトショップを展開する企業によるポップアップストアが開催されるなど、根強いファンに支えられた活動が続いています。
全盛期の貯蓄
現在の生活を支えているのは、主に全盛期に稼いだ貯蓄だと考えられています。辰吉本人も「贅沢しなければ、今まで稼いだお金で生きていける」と語っており、派手にお金を使うことなく生活しているとのこと。全盛期に多くの資産を築いたため生活は安定しており、ほぼ無職状態で年収がほとんど無い状態であっても現役として活動することができています。
興味深いことに、以前、数千万円の出演料でCMオファーがあった際、辰吉は「僕はタレントではなく、ボクサーだからCMで何千万というお金を稼いではダメだと思った」として出演を断ったというエピソードもあります。この姿勢からも、彼がボクシングに対して持つこだわりの強さが伺えます。
54歳で現役を続ける理由
日本ボクシングコミッション(JBC)は37歳の定年規定を設けており、辰吉は2008年にライセンスを失効しています。それでもなお現役を貫く背景には、いくつかの理由があります。
父との約束と「辰吉」という名前へのこだわり
辰吉という名前は、お金を運ぶ船「辰吉丸」に由来しており、男手一つで育ててくれた父親への感謝の気持ちから、この名前にこだわりを持っているといわれています。自分の名前を大切にし、自分らしく生きる方法が「現役を続けること」という信念を貫いているのです。
世界チャンピオンとしての引退へのこだわり
「世界チャンピオンのまま引退する」それが辰吉のこだわりです。3度世界王座に輝いた経験を持つ彼にとって、4度目の世界チャンピオンを目指すことは単なる夢ではなく、自分自身との約束でもあるのでしょう。
日々のトレーニング
現在も毎日4~5キロのロードワークと夜のジムワークを基本的に毎日こなしており、1日1食という生活を続けながらバンタム級の体重をキープしています。所属ジムを離れた後は、明石にある戎フォルティフィカルボクシングジムなどで練習を続けているとのことです。
ファンが抱く健康への心配
辰吉の現役継続に対して、多くのファンが健康面を心配しています。特に注目されているのがパンチドランカーの可能性です。
2014年に上映された映画「ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年」の記者会見で、以前とは異なる話し方をしていたことから、パンチドランカーではないかという懸念が広がりました。呂律が回っていない様子や声の籠りが見られ、視聴者から心配の声が上がっています。
また、辰吉は1991年に網膜裂孔(後に網膜剥離)を患い、一度は事実上の引退危機に直面しました。手術は成功し医師から完治と診断されましたが、キャリアを通じて受けた激しいダメージの蓄積を心配する声は絶えません。
50歳を過ぎても現役を続けられるのは経済的な安定があってこそですが、同時に体への負担も無視できません。長年のボクシング継続により万年筋肉痛の状態にあるという報道もあり、ファンとしては健康面での懸念が拭えない状況です。
夢を追い続ける「浪速のジョー」
全盛期に稼いだ破格のファイトマネーによって経済的な基盤を築き、現在も現役にこだわり続ける辰吉丈一郎。次男の辰吉寿以輝もプロボクサーとして活動しており、父子そろって世界王者を目指すという夢を追いかけています。
ファンの心配をよそに、リングに立つ日を夢見て日々トレーニングに励む姿は、多くの人々に勇気と感動を与え続けています。54歳という年齢で現役を続ける姿は、「夢を諦めない」という強い意志の表れであり、それこそが「浪速のジョー」辰吉丈一郎の生き方そのものなのです。
ただし、長年のファンとしては、彼の健康と幸せを第一に願いたいものです。リングに上がる日が来るのか、それとも別の形で第二の人生を歩むのか。今後の辰吉丈一郎の選択に、多くの人々が注目しています。



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