東京・麻布十番で毎年夏に開催される「麻布十番納涼まつり」(今年で第60回)。その屋台で販売された、1杯2000円の「冷やし蟹ラーメン」を食べた人たちから、相次いで体調不良の訴えが出ていることが分かりました。販売していたのは、格闘技コンテンツ「BreakingDown」出身の異色の料理人・こめおさん(本名・沼倉大将さん)。港区保健所はすでに調査を始めており、こめおさんが手がける店「割烹こめを」は営業自粛を決めています。何が起きたのか、現時点で分かっている事実を整理します。
体調不良を訴えているのは何人?
港区保健所によると、最初の通報は8月26日正午過ぎに入りました。「祭りでカニラーメンを食べたあと、発熱・下痢・嘔吐などの体調不良が出た」という内容で、その後同日午後9時半までに、同様の通報が計5グループ・男女6人(男性2人、女性4人)から寄せられました。症状は下痢、嘔吐、発熱、腹痛などで、一部は医療機関を受診したことも伝えられています。
さらに翌27日も通報は止まらず、午後5時までの間に「通報は計20件以上あった」と保健所担当者が説明しています。つまり、8月26日夜の時点では「6人」だった相談件数は、27日中にさらに増えていることになります。今後もこの数字は変動する可能性があるため、報道をチェックする際は「いつ時点の人数か」に注意が必要です。幸い、重症者が出ているという報道は今のところありません。
ここで注意したいのは、「体調不良を訴える通報が相次いでいる」ことと「その全員が蟹ラーメンによる食中毒だと確定した」ことはイコールではないという点です。記事タイトルなどでも、この2つは分けて表現する必要があります。
蟹ラーメンが原因の食中毒と決まったわけではない
現段階で最も重要なポイントがここです。港区保健所は原因を調査中であり、蟹ラーメンが原因の食中毒だとはまだ断定されていません。体調不良を訴えた人の中には、会場で蟹ラーメン以外の食品を口にしていた人もいるとされ、保健所は患者一人ひとりの食事歴や、症状が出るまでの時間などを確認している段階です。
今後は、原因となる病原体や食品が特定できるかどうかが焦点になります。弁護士ドットコムニュースも、現時点で蟹ラーメンが原因と断定されているわけではなく、保健所が因果関係を調べている段階だと伝えています。
SNSでは「39度の発熱」「激しい腹痛」の投稿も拡散
X(旧Twitter)やThreadsでは、8月25日夜から26日にかけて体調不良を訴える投稿が相次ぎました。高熱や下痢、強い腹痛を訴える内容が多く、中には蟹ラーメンを原因ではないかと疑う声も見られます。
ただし、こうしたSNS上の投稿はあくまで個人の申告であり、公的な調査結果とは性質が異なります。感覚的に「食中毒だ」と決めつけるのではなく、保健所の発表を待つ姿勢が求められます。
保健所はどんな調査を進めている?
港区保健所は、体調不良を訴えた人への聞き取りに加え、食事歴や発症時期の確認、検便などを実施。あわせて、蟹ラーメンを調理した調理場への立ち入り調査や、使用した食材の確認、従業員の検便なども進めているとみられます。
調査で重要になるのは、蟹ラーメンを食べた人に共通して症状が出ているか、また食べた人たちの間でどの食材・食品が共通していたかという点です。ここが明らかになることで、原因の特定に近づくことになります。
「700食余った」というこめおさんの投稿が波紋を呼んだ理由
祭り初日にあたる8月22日は、激しい雨の影響で予定より早い午後6時ごろに終了しました。本来の終了予定は午後9時だったとされています。この日、こめおさんは自身のXで「雨で中止になり、700食余ってしまった」という趣旨の投稿をし、翌日の天候回復を願う内容を発信していました。
翌23日は予定通り祭りが開催されましたが、この一連の投稿を見たSNSユーザーの一部からは、「初日に余った食材が2日目の販売に関係しているのではないか」と推測する声が上がっています。
ただし現時点では、余った食品と今回の体調不良との間に因果関係があるという確認は取れていません。この部分はアクセスを集めやすいテーマではありますが、憶測を事実であるかのように扱わないよう注意が必要です。なお弁護士ドットコムニュースの取材によれば、23日に提供された食品の現物は、調査開始の時点ではすでに残っていなかったとも報じられています。
こめおさんが謝罪「責任を逃れるような真似は絶対しません」
8月27日、こめおさんは公式X上で声明を発表しました。体調を崩した人、そして心配している人たちへ謝罪の言葉を述べたうえで、港区保健所や地元の麻布十番組合とともに原因調査を進めていることを説明。調査結果が出るまでには1〜2週間程度かかる可能性があるとしたうえで、調査には全面的に協力する姿勢を示し、「責任を逃れるような真似は絶対にしない」という趣旨のコメントを残しています。
こめおさん側の説明でも、現時点では体調不良と販売した商品との因果関係を含め、原因はまだ特定されていないとされています。
「割烹こめを」は調査期間中、営業自粛へ
こめおさんが麻布十番で営んでいる「割烹こめを」は、調査期間中の営業を自粛する方針です。原因が明らかになるまでは営業を控える判断とみられ、今後は保健所の調査結果を踏まえて対応を決めていくことになりそうです。営業再開のタイミングにも注目が集まっています。
こめおさんはどんな人物?
こめおさんは、格闘技コンテンツ「BreakingDown」への出場をきっかけに知名度を上げた人物で、その後は料理人として活動の幅を広げてきました。東京・麻布十番では完全予約制の創作和食店「割烹こめを」を展開し、2026年5月には浅草に蟹ラーメン専門店「かにを」をオープン。格闘家から料理人へと転身した異色の経歴の持ち主として知られています。
なお「かにを」については、開業直後の5月にも別の騒動がありました。「国産のカニの魅力を伝える」とアピールしていた一方で、実際には中国産などの食材を使用していたことが判明し、SNS上で批判を集めた経緯があります。今回の体調不良の件とは時期も内容も異なる別の出来事ですが、こめおさんの店が短期間で二度にわたり注目を集めている背景として押さえておきたいポイントです。
今後の調査結果はいつ分かる?
保健所の調査には一定の時間が必要とされ、こめおさん側は「1〜2週間程度かかる可能性がある」と説明しています。今後の焦点は、
- 原因となる食品が特定されるのか
- 病原体が検出されるのか
- 食中毒として正式に認定されるのか
- 「割烹こめを」の営業再開はいつになるのか
といった点です。続報が出次第、内容は更新される見込みです。
まとめ
麻布十番納涼まつりで販売された蟹ラーメンを巡り、体調不良の訴えが相次いでいます。港区保健所には8月26日夜の時点で5グループ・6人、27日中にはさらに通報が増え計20件以上に達しました。現時点では蟹ラーメンが原因の食中毒だと確定したわけではなく、保健所が調理場や食材などを含めて調査を続けている段階です。こめおさんは謝罪のコメントを発表し、調査への全面協力を表明。「割烹こめを」は調査期間中の営業自粛を決めています。今後は保健所の調査結果がどう出るかが最大の注目点となりそうです。


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