「永住許可20万円」に衝撃を受けた人へ
2026年8月25日、政府は在留手続きの手数料を大幅に引き上げる政令を閣議決定しました。適用開始は同年10月1日から。中でも注目を集めているのが、永住許可の手数料が現在の1万円から一挙に20万円へと引き上げられるという内容です。
「なぜここまで値上げされるのか」「自分は対象になるのか」と不安に感じている外国人の方、そしてその家族や雇用企業も多いはずです。この記事では、今回の在留手数料値上げの全体像を、対象者・金額・背景・影響まで整理してわかりやすく解説します。
10月から在留手数料はいくらになる?
まず気になる新しい金額を確認しましょう。
在留資格の変更・更新
現在は窓口申請で一律6,000円ですが、10月以降は許可される在留期間に応じて段階的に変わります。代表的な例は次の通りです。
- 3カ月以下:1万円
- 1年:3万3,000円
- 5年以上:7万5,000円
これらはあくまで代表例で、実際にはより細かい期間区分(例:3年以上5年未満は6万4,000円など)を含む段階制になっています。このように、長い在留期間を許可されるほど手数料が高くなる仕組みです。1回あたりの申請で得られる在留期間が長いほど、行政サービスの利用期間も長くなるという考え方が背景にあると見られます。なお、オンライン申請の場合は窓口申請より手数料が安く設定される仕組みも盛り込まれています。
永住許可
- 現在:1万円
- 10月以降:20万円
在留資格の変更・更新に比べても、永住許可の値上げ幅は突出しています。実に20倍という大幅な引き上げです。
「永住許可20万円」は誰が対象になるのか
このニュースを見て「外国人は全員20万円を払わされるのか」と誤解する人も少なくありません。ここは正確に理解しておく必要があります。
- 対象となるのは、これから新たに永住許可を申請する外国人
- すでに永住者になっている人が、あらためて20万円を支払う必要はない
- 日本に住む外国人全員が一律20万円を負担する制度ではない
- 「在留資格の変更・更新」と「永住許可」はまったく別の手続き
つまり、今回の値上げは「これから永住権を取ろうとする人」に直接影響する制度変更であり、既存の永住者や、通常のビザ更新をする人にとっては、それぞれ別の(比較的小さい)値上げ幅が適用されるということです。
なぜ永住許可がここまで大幅値上げになったのか
今回の記事の核心部分です。政府の説明や制度の経緯を整理すると、主に次のような理由が挙げられます。
- 外国人の出入国・在留を適正に管理するための費用
- 日本語学習プログラムや多言語相談窓口の整備など、在留外国人への支援にかかる行政コスト
- 在留外国人数(400万人超)の増加に伴う行政サービス需要への対応
- 政府が外国人にも「相応の負担」を求める方針を示した
平口洋法相は2026年8月25日の閣議後会見で、「在留手数料の値上げは外国人との秩序ある共生社会に向けた施策を実施するためのもので、重要な意義がある」と述べています。政府は値上げによる増収分を、出入国管理のための費用や日本語学習プログラムなどに充てるとしています。
なお、政令案に対するパブリックコメント(意見公募)では「外国人との共生社会の実現に反する」といった批判的な意見も寄せられましたが、政府は当初案から金額を一切変更せず、そのまま決定しました。
「20万円」という金額の根拠は?
永住許可は一度取得すると、在留期間の制限がなくなるという大きな特典があります。通常の在留期間更新とは性質が異なる手続きです。
背景には制度上の変更もあります。2026年3月に閣議決定された入管法改正案により、永住許可の手数料の法定上限そのものが1万円から30万円へと引き上げられ、同改正法は5月に成立、6月に公布されました。今回政令で示された20万円は、この30万円という上限の範囲内で設定された金額です。出入国在留管理庁は、審査にかかる実費に加え、永住許可によって得られる利益を考慮した「応益的」な要素を組み合わせて金額を算定したとしています。
つまり、20万円という数字は突然決まったわけではなく、法改正によって手数料の上限自体が引き上げられたことが土台にあるのです。
外国人本人だけでなく日本企業にも影響
在留手数料の値上げは、外国人本人だけの問題ではありません。外国人材を雇用する企業にも影響が及びます。
- 特定技能など外国人材を活用する業種
- 介護
- 建設
- 製造業
- 宿泊業
- 外食業
こうした業種では、在留資格の更新費用を企業側が負担しているケースも多く、外国人材を多く雇用する企業ほどコスト増につながる可能性があります。実際、介護現場などからは、受け入れコストの増加を懸念する声も出ています。
手数料を払えない外国人はどうなる?
大幅な値上げに対しては、支払い能力の面で不安を感じる人も多いでしょう。今回の政令では、経済的に困窮している人への減額措置も設けられています。
- 生活保護法が定める「要保護者」と同程度の経済的困窮であること
- 加えて、人道上の配慮が必要であること(難民認定申請者、人身取引などの被害者を想定)
- この2つの条件を両方満たす場合、在留関係の手続きは1万円、永住許可は2万円に減額される
- 誰でも自由に減額を受けられるわけではなく、一定の条件を満たす必要がある
ただし、この減額基準には課題も指摘されています。報道によれば、現行案の基準では難民認定申請者の9割程度が減額対象から外れるとみられており、支援団体などから「対象が狭すぎるのではないか」との懸念も出ています。
2025年にも値上げしたばかりだった
「なぜ今、これほど大きな値上げが必要なのか」と疑問に思う人もいるでしょう。実は在留手数料は、2025年4月にもすでに一度引き上げられています。
- 在留資格変更・更新:4,000円→6,000円
- 永住許可:8,000円→1万円
それからわずか1年半ほどで、再び大幅な値上げが行われる形です。しかも今回は、前回とは比較にならないほどの引き上げ幅となっており、短期間での連続値上げに戸惑う声も上がっています。
永住許可20万円は外国人の日本定住にどう影響する?
この値上げが今後の外国人の生活設計にどう影響するのか、賛否両方の見方を整理しておきます。
負担が大きいと感じる立場
- 永住を目指す外国人にとって、20万円は決して小さくない負担
- 家族単位で複数人が申請する場合、負担はさらに大きくなる
- 相対的に賃金水準が低い層ほど、影響を強く受ける可能性がある
- 費用面がネックとなり、日本への定住を見送る判断をする人が出る可能性もある
負担を妥当とする立場
- 永住許可を得ると在留期間の制限がなくなるという大きなメリットがある
- 行政サービスを利用する以上、応分の費用負担を求めるのは合理的という考え方
- 諸外国でも同種の手数料が設定されている例がある
どちらか一方が絶対的に正しいというより、行政コストの負担のあり方をめぐる価値観の違いが背景にあると言えるでしょう。
今回の値上げで外国人政策はどう変わる?
今回の改定は、単なる「手数料の値上げ」にとどまらない意味を持っています。
- 外国人の受け入れ拡大と、管理体制の強化を同時に進める方向性
- 在留外国人数の増加への行政的な対応
- 政府が掲げる「秩序ある共生社会」という方針の具体化
- 永住許可制度そのものの位置づけの見直し
- 今後さらに外国人関連制度が変わっていく可能性
今回の在留手数料の改定は、こうした日本の外国人政策全体の大きな転換点の一つとして捉えることができます。
まとめ|永住許可20万円は外国人に何をもたらすのか
最後に、今回の内容を簡潔に整理します。
- 2026年10月1日から、在留手続きの手数料が大幅に値上げされる
- 在留資格の変更・更新は、期間に応じて1万円〜7万5,000円に
- 永住許可は1万円から20万円へと引き上げ
- 対象は、これから新たに永住許可を申請する外国人
- すでに永住者になっている人が改めて20万円を支払うわけではない
- 経済的に困窮している人には減額措置がある
- 外国人本人だけでなく、外国人材を受け入れる企業にも影響が及ぶ
- 背景には、外国人の在留管理や共生施策に必要な費用負担という政府の考え方がある
今回の値上げは政令として決定したものであり、10月1日以降に受け付けられる申請から新料金が適用される見込みです。永住許可の申請を検討している方は、今後発表される正式な施行内容や経過措置についても、引き続き最新情報を確認しておくことをおすすめします。






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