島根県内で運動部の外部コーチを務めていた男が、指導していた女子生徒に対して性的暴行を繰り返したとして準強姦の罪に問われている事件の初公判が、2026年8月19日、松江地方裁判所で開かれました。事件が起きたとされるのは2013年と2016年。被告の男(43)は起訴内容を全面的に否認し、弁護側も無罪を主張しています。事件発生から13年という長い年月を経て始まったこの裁判では、被害を訴える女性の供述がどこまで信用できるかが最大の争点になるとみられます。
事件は2013年と2016年に発生
起訴状などによると、被告の男は当時、中学・高校の運動部で外部コーチとして指導にあたっていました中学と高校の部活動の外部コーチを務めていた被告は、2013年から複数回にわたって、遠征先の益田市や出雲市などのホテルで、心理的に抵抗できない状態にあった女性に対し、性的暴行を加えたなどとされています。合宿や試合の遠征先として宿泊したホテルが事件の舞台となり、被告は運動部の外部コーチを務めていた2013年と2016年に合宿や遠征で宿泊した島根県と岡山県のホテルで指導していた女子生徒を心理的に抵抗できない状態にした上で、3度の性的暴行を加えた罪に問われています。最初の事件からすでに13年が経過しており、証拠の確保や記憶の正確性といった面でも、通常の事件とは異なる難しさを抱えた裁判になると見られます。
被告は女子生徒を「心理的に抵抗できない状態」にしたとされる
起訴内容の核心は、単なる暴行ではなく、指導者と教え子という明確な上下関係を悪用した点にあります。検察側は冒頭陳述で、被告がメールでわいせつな内容を送るなどした上、二人きりになった際にわいせつな行為に及んでいたと説明しました。そのうえで、被害者は被告の機嫌を損ねると指導してもらえなくなると考え、意にそむけず性行為に応じさせていたと指摘しています。コーチという立場が持つ影響力を利用し、生徒が抵抗や拒否をできない状況を意図的に作り出していたというのが検察側の主張の骨格です。
2026年3月に刑事告訴を受けて起訴
この事件が刑事事件として動き出したのは、被害を受けたとする女性自身の告訴がきっかけでした。女性は中学生から高校生にかけて性被害を受けていたとして、被告を刑事告訴。これを受けて松江地検は2026年3月、準強姦罪で被告を起訴しました。被告はこれに先立つ2025年8月に児童福祉法違反の疑いで一度逮捕されていますが、体調不良を理由に釈放され、その後は在宅のまま捜査が続けられていました。最終的に検察は、より罪の重い準強姦罪での起訴に踏み切っています。事件発覚から起訴、そして裁判に至るまで、被害女性にとっては長い時間を要する過程だったことがうかがえます。
13年後の初公判で被告「全て間違っています」
8月19日に開かれた初公判で、被告は起訴内容について「すべて間違っています」と述べ、全面的に否認しました。弁護人も公訴事実をすべて否認する方針を示し、無罪を主張しています。検察側が指摘する具体的な行為や状況について、被告・弁護側は真っ向から対立する立場を取っており、今後の裁判では双方の主張がぶつかり合う展開が予想されます。事件発生から10年以上が経過してからの初公判ということもあり、当時の状況をどこまで具体的に立証できるかが今後の焦点となります。
検察「中学2年生から約6年間にわたり性被害」
検察側は冒頭陳述の中で、被害を訴える女性が中学2年生の時から約6年間にわたって、日常的に性被害を受け続けていたと説明しました。これは今回起訴された3件にとどまらず、長期間にわたって被害が継続していたと検察側が捉えていることを示しています。さらに検察は、被告が「従わなければ指導をできない」といった趣旨の発言で女性を心理的に追い詰めていたと指摘し、指導者という立場を利用した悪質な犯行だったと強調しました。単発の事件ではなく、継続的な支配関係の中で行われた行為だったという見方を、検察側は裁判の中で示していく方針とみられます。
裁判の最大の争点は「被害女性の供述の信ぴょう性」
弁護側は「性的暴行はしていない」として無罪を主張しており、検察側の主張とは事実関係そのものが真っ向から食い違っています。事件から長い年月が経過していることもあり、物的証拠が乏しい中で、被害を訴える女性の供述がどれだけ具体的で一貫性があるか、そしてその内容がどこまで裁判所に認められるかが、今後の審理の中心になるとみられます。今後開かれる証人尋問などを通じて、検察側・弁護側双方が自らの主張を裏付ける証拠や証言を積み上げていくことになります。
被害女性「自分自身と逃げずに向き合って」
被害を訴える女性は、起訴を受けて開いた記者会見で、当時なぜ抵抗したり逃げたりできなかったのかという思いを語ったうえで、ここで終わりになるのではなくてしっかり前に進んでいきたいと述べていました。初公判にあたっても、自分自身と逃げずに向き合いながら、これからも前を向いて歩んでいきたいという趣旨のコメントを残しています。事件発生から10年以上、そして刑事告訴から起訴、裁判へと至るまでの長い道のりを経て、ようやく法廷という場に立ったことになります。なお、女性は2025年、被告に対して1100万円の損害賠償を求める民事訴訟も別途起こしており、今後は刑事裁判と民事裁判の両方が並行して進められることになります。
次回公判は10月7日
次回の公判は、2026年10月7日に開かれる予定です。この期日では証人尋問などが行われる見通しで、検察側・弁護側双方が事件当時の状況や被害女性の供述の信用性について、より具体的な主張・立証を展開していくとみられます。裁判の行方は、被害女性の証言がどのように評価されるか、そして被告側がどのような反証を示すかによって大きく左右されることになりそうです。判決までにはなお時間がかかることが予想され、今後の審理の進展が注目されます。
まとめ
13年前に起きたとされる事件が、2026年になってようやく裁判の場に持ち込まれました。被告の男は起訴内容を全面的に否認し、弁護側も無罪を主張する一方、検察側はコーチという立場を利用した継続的かつ悪質な犯行だったと主張しており、両者の主張は真っ向から対立しています。今後の裁判では、長期間が経過した事件特有の難しさの中で、被害女性の供述の信用性がどう判断されるかが最大のポイントとなります。次回公判は10月7日に予定されており、証人尋問を通じて事件の実態がどこまで明らかになるか、引き続き注目されます。





コメント