財務省が2026年8月10日に発表したデータによると、いわゆる「国の借金」は2026年6月末時点で1346兆6833億円となり、過去最大を更新しました。3月末からわずか3カ月で2兆8407億円も増えたことになります。
「国民1人あたり1095万円」という数字も話題になっていますが、この金額は本当に私たちの負担なのでしょうか。今回は、国の借金が膨らみ続ける理由と、その先にある日本財政のリスクについて、わかりやすく解説します。
1. 日本の「国の借金」が1346兆円に
財務省が発表した最新データによれば、2026年6月末時点の「国の借金」は1346兆6833億円。3月末から2兆8407億円増加し、過去最大を更新しました。
なお、6月に成立した2026年度補正予算を反映すると、2026年度末の国の借金は1492兆8000億円まで膨らむ見通しです。政府の支出を税収だけでは賄いきれず、国債などの借金で埋め合わせる財政運営が続いています。
「国民1人あたり1095万円」とは?
7月1日時点の人口推計の概算値、約1億2293万人をもとに単純計算すると、国民1人あたりの借金は約1095万円という数字になります。
ただし、これは「国民一人ひとりが1095万円を国に返す義務を負っている」という意味ではありません。あくまで借金総額を人口で割った参考値である点に注意が必要です。
2. そもそも「国の借金1346兆円」とは何?
財務省が公表する「国の借金」は、以下の3つを合計したものです。
- 国債
- 借入金
- 政府短期証券
このうち、主に税収で返済する必要のある普通国債の発行残高は1110兆8839億円で、脱炭素投資の財源となるGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債も含まれます。一時的な資金繰りのための政府短期証券は94兆3994億円、金融機関などからの借入金は40兆5374億円という内訳です。
これは政府の負債であり、性質としては私たち国民や企業が抱える借金とは異なります。
3. なぜ日本は借金に頼らざるを得ないのか?
最大の理由は「歳出>税収」
日本が借金を続ける最大の理由は、政府が使うお金(歳出)に対して税収が不足していることです。この不足分を国債発行などで補う構造が続いており、過去に発行した国債の償還のために新たな国債を発行する、いわば「借金を返すために、また借金をする」という側面もあります。
社会保障費が大きな負担に
年金・医療・介護といった社会保障費は、高齢化の進展にともなって年々増加しています。これが歳出を押し上げる最大の要因の一つとなっています。
景気対策・災害・感染症などでも支出が増える
景気悪化時の経済対策、自然災害への対応、新型コロナ対策のような突発的な支出も、国の借金を増やす要因になります。そして一度膨らんだ歳出は、政治的にも社会的にも簡単には削減できないという構造的な問題があります。
4. 日本の借金はいつから急増した?
日本の借金は、1990年代のバブル崩壊後の景気対策による国債発行増加をきっかけに拡大が始まりました。その後、少子高齢化にともなう社会保障費の増大、2008年のリーマン・ショック、そして2020年からのコロナ禍における大規模な財政出動などを経て、長期にわたり国債残高が積み上がってきました。
5. 「借金1346兆円」で日本は財政破綻しないのか?
「借金が多い=すぐに財政破綻する」というわけではありません。日本政府には現金や有価証券などの資産も存在しており、負債の額だけで財政状況を単純に判断することはできません。
また、国債の保有者にも注目する必要があります。2026年3月末時点の長期国債の保有者別内訳を見ると、日本銀行が47.9%を保有しており、依然として最大の保有主体です。一方、海外投資家の保有比率は8.1%にとどまっており、他の主要国と比べて海外依存度が低い傾向にあります。日本銀行は金融政策の正常化にともない国債の買い入れを減らしてきており、日銀の保有比率は2025年12月末に3年半ぶりに5割を割り込みました。今後は家計や国内金融機関、海外投資家による「受け皿づくり」が課題とされていますが、いずれにせよ政府の負債残高だけを見て、日本経済全体の健全性を評価するのは適切ではないという指摘もあります。
6. それでも「借金増加」が深刻な理由
金利が上昇すると利払い負担が増える
国債残高が大きいほど、金利上昇の影響は深刻になります。利払い費が増えれば、その分だけ他の政策に使える予算が圧迫されることになります。実際、財務省の試算では国債の利払い費が今後さらに増加する見通しも示されており、金融市場では拡張的な財政運営への懸念から金利上昇リスクがくすぶっています。
将来的な増税につながる可能性
財政再建を進めるためには、増税や社会保険料の負担増、給付や公共サービスの見直しが避けられない可能性があります。
7. 「国民1人1095万円」は本当に私たちの負担なのか?
繰り返しになりますが、私たち一人ひとりが1095万円の借金を個人として背負っているわけではありません。「国の借金」と「国民の借金」は明確に区別して考える必要があります。
一方で、国の財政悪化は、将来的な税負担や社会保障の給付水準の見直しなどを通じて、間接的に私たちの生活に影響を及ぼす可能性がある点は無視できません。
8. なぜ政府は借金を減らせないのか?
歳出を削減しようとすれば社会保障や公共サービスに影響が出ますし、増税には強い政治的なハードルがあります。さらに、急激な財政引き締めは景気を悪化させるリスクもあるため、「歳出削減」と「経済成長」を両立させることは容易ではありません。こうした事情が絡み合い、財政再建は簡単には進まない構造になっています。
9. 今後、日本の借金はどうなる?
今後も国債残高はさらに増える可能性が高いとみられています。金利上昇が財政に与える影響、少子高齢化による社会保障費の増大、税収をどこまで増やせるかといった要素が、日本財政の行方を左右します。政府が財政健全化をどのように進めていくかが、引き続き大きな焦点となるでしょう。
10. まとめ|1346兆円という数字から考える日本の財政
- 「国の借金」は1346兆6833億円で過去最大を更新
- 3カ月で約2兆8407億円増加
- 1人あたりに単純換算すると約1095万円
- 背景には税収だけでは賄えない政府支出の構造がある
- 特に社会保障費の増加という構造的な問題が大きい
- 「国民1人1095万円」という数字だけで単純に判断するのは適切ではない
- ただし、借金が膨らみ続けることで、金利上昇時の利払い負担増加などのリスクには注意が必要
「国の借金1346兆円」という数字は衝撃的に見えますが、その背景には日本の財政が抱える構造的な課題があります。数字の大きさだけに惑わされず、なぜ借金が増え続けるのか、その仕組みを正しく理解することが大切です。






コメント