2026年8月3日、札幌地裁で開かれた江別大学生暴行死事件の裁判員裁判で、検察は主犯格とされる川口侑斗被告(19、犯行当時18歳)に対し無期懲役を求刑しました。
検察は論告で、川口被告が暴行や金品の要求などすべての犯行を主導したと指摘し、「類例を見ないほど悪質な犯行」と厳しく非難しました。一方、弁護側は集団暴行という特殊な状況の中でやめることができなかったとして、懲役25年が相当だと主張しています。
法廷ではこの日、被害者・長谷知哉さんの父親による意見陳述書も読み上げられ、大きな注目を集めました。本記事では、事件の経緯から裁判の枠組み、検察・弁護側双方の主張、そして8月7日に予定されている判決のポイントまで、時系列を追いながら詳しく解説します。
江別大学生暴行死事件とは
2024年10月25〜26日、北海道江別市の公園で、千歳市の大学生・長谷知哉さん(当時20)が集団暴行を受け、死亡した事件です。強盗致死などの罪に問われているのは男女6人で、長谷さんの交際相手だった八木原亜麻被告(21)、その友人の川村葉音被告(21)、川口侑斗被告(19)、瀧澤海裕被告(19)、当時17歳の少年、当時16歳の少年です。
報道によると、長谷さんが交際相手の八木原被告に別れを切り出したことが発端とされています。別れ話の相談を受けた川村被告らが長谷さんを呼び出し、その場に居合わせた川口被告が暴行を始めたとされ、「服に血が付いた」として金銭を要求するなど、暴行と金品要求がエスカレートしていったと検察は説明しています。
これまでの裁判では、司法解剖を担当した医師が、長谷さんの顔や頭部にほとんど出血していない箇所がないほどの出血があったと証言。全身の血液量の20〜30%を失い、外傷性ショックによって死亡したとされています。
裁判は3つのグループに分かれて進行
6人の被告は、関与の程度などに応じて3つのグループに分かれて審理されています。
- 川村葉音被告・瀧澤海裕被告・当時16歳の少年(初公判5月25日、判決6月25日・判決済み)
- 川口侑斗被告・当時17歳の少年(初公判7月13日、判決8月7日予定)
- 八木原亜麻被告(初公判の日時は未定)
すでに判決が出た3人の量刑
先行して審理された3人については、2026年6月25日に札幌地裁(高杉昌希裁判長)で判決が言い渡されました。
- 川村葉音被告:暴行や金品を奪う流れを作り「犯行をけん引した」と判断され、懲役30年(求刑は無期懲役)
- 瀧澤海裕被告:「ライダーキック」と称して長谷さんに飛び蹴りするなどしたとして、求刑通り懲役20年
- 当時16歳の少年:犯行を助長する言動を取ったとして、懲役9〜13年の不定期刑(求刑は懲役10〜15年)
高杉裁判長は判決で、長谷さんと八木原被告の交際トラブルが事件の契機になったと指摘した上で、「本来は話し合いで解決すべきだったのに、当事者でもない者が乗り込んで暴力に発展しており、酌量すべきところは何もない」と厳しく非難しました。なお、この判決についてはその後、川村被告側と検察側の双方が不服として控訴しています。
川口被告に無期懲役が求刑された理由
川口被告と当時17歳の少年の裁判員裁判は7月13日に始まりました。初公判で川口被告は起訴内容を認め、「本当にひどいことをした。申し訳ございません」と述べたと報じられています。
8月3日の論告求刑公判で、検察側は川口被告について「暴行を一方的に開始し、金品の要求も終始主導した」とし、被害者の死に直結する暴行を最も多数回加えたと指摘しました。当時18歳で分別のつく年齢であり、刑を軽くする余地はないとも述べています。
さらに検察は、川口被告が共犯の八木原被告に責任を転嫁する発言を繰り返し、自らの責任と真摯に向き合っていない点も量刑判断の材料として挙げました。これらを踏まえ、検察は無期懲役を求刑しています。なお川口被告は、改正少年法で起訴後の実名報道が可能となる「特定少年」(犯行時18〜19歳)に該当します。
弁護側は懲役25年を主張
弁護側は、集団暴行という特殊な状況の中で一人では犯行をやめることができなかったと主張し、その上で無期懲役ではなく有期刑である懲役25年が相当だとしています。裁判では量刑そのものが最大の争点となっています。
当時17歳の少年には懲役30年を求刑
同じ裁判で審理されている当時17歳の少年に対しては、7月27日の論告求刑公判で検察が懲役30年を求刑しました。検察は「少年が主体的に暴行を加えたのは明らか」としています。これに対し弁護側は、他の共犯者からの心理的影響が大きく主犯格とは言えないとして、懲役20年が上限だと主張しました。
被害者父親が法廷で語った思い
8月3日の裁判では、被害者遺族による意見陳述書が読み上げられました。長谷さんの父親の陳述書には、川口被告に対し土下座して謝罪するよう求める言葉とともに、「死刑か無期懲役しか考えられません。息子が報われません」という悲痛な訴えが記されていたと報じられています。
無期懲役と有期懲役、何が違うのか
無期懲役には刑期の定めがなく、仮釈放が認められない限り生涯にわたって服役が続く可能性があります。実際に仮釈放が認められるケースもありますが、審査は厳格で服役期間が長期化する傾向にあります。
一方、懲役25年や懲役30年といった有期刑は刑期があらかじめ定められており、一定期間の服役後に仮釈放の対象となる可能性や、刑期満了による出所の見込みが立てやすいという違いがあります。裁判所は、主導性の程度や反省の有無、更生の可能性、犯行の悪質性などを総合的に考慮した上で量刑を判断します。
八木原亜麻被告の裁判はこれから
長谷さんと交際関係にあり、事件の発端に関わったとされる八木原亜麻被告については、2026年8月時点で初公判の日時が決まっていません。同被告の裁判の行方も、今後注目されるポイントの一つです。
判決は8月7日|注目される3つのポイント
川口被告と当時17歳の少年の判決は、2026年8月7日午後1時30分、札幌地裁で言い渡される予定です。注目されるポイントは以下の3点です。
- 主犯格と認定されるか:検察が主張する通り、川口被告が犯行全体を主導したと裁判所が認定するかどうか。
- 無期懲役となるか有期刑にとどまるか:先行判決で川村被告が求刑(無期懲役)より軽い懲役30年となったように、今回も量刑が求刑を下回る可能性があるかどうか。
- 判決理由の内容:反省の有無や責任転嫁の姿勢がどのように評価されるか。
事件の時系列まとめ
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年10月25〜26日 | 江別市の公園で事件発生、長谷知哉さんが死亡 |
| 2026年5月25日 | 川村葉音被告ら3人の初公判 |
| 2026年6月25日 | 川村被告に懲役30年、瀧澤被告に懲役20年、16歳少年に懲役9〜13年の判決 |
| 2026年7月13日 | 川口侑斗被告・17歳少年の初公判 |
| 2026年7月27日 | 17歳少年に懲役30年を求刑 |
| 2026年8月3日 | 川口被告に無期懲役を求刑、結審 |
| 2026年8月7日 | 川口被告・17歳少年の判決言い渡し予定 |
よくある質問(FAQ)
Q. 事件の被告は何人いますか?
男女6人が強盗致死などの罪に問われています。関与の程度に応じて3つのグループに分かれて裁判が進められています。
Q. なぜ川口被告に無期懲役が求刑されたのですか?
検察は川口被告を主犯格と認定し、暴行や金品要求など犯行全体を主導したこと、また共犯者への責任転嫁が目立ち反省が見られないことを理由に挙げています。
Q. 他の被告の判決はどうなっていますか?
先行して審理された川村葉音被告、瀧澤海裕被告、当時16歳の少年については2026年6月25日に判決が出ており、それぞれ懲役30年、懲役20年、懲役9〜13年(不定期刑)です。八木原亜麻被告の初公判は未定です。
Q. 判決はいつ、どこで言い渡されますか?
川口被告と当時17歳の少年の判決は、2026年8月7日午後1時30分、札幌地裁で言い渡される予定です。
まとめ
江別大学生暴行死事件では、強盗致死などの罪に問われた男女6人が3つのグループに分かれて裁判を受けています。先行する3人にはすでに懲役20〜30年の実刑判決が出ており、主犯格とされる川口侑斗被告と当時17歳の少年については、検察がそれぞれ無期懲役、懲役30年を求刑しました。
法廷では被害者・長谷知哉さんの父親による切実な陳述も読み上げられ、事件の重大性が改めて浮き彫りになっています。判決は2026年8月7日午後1時30分、札幌地裁で言い渡される予定で、裁判所が主導性や反省の有無をどう評価するのかが最大の焦点です。





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