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モデルなのに介護士を続ける上条百里奈|二つの道を歩む理由と彼女の使命

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介護 障害 福祉
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華やかなランウェイと介護現場を行き来する異色のキャリア

ファッションショーのスポットライトを浴びた翌日、特別養護老人ホームで高齢者の介護をする。そんな二面性のある働き方を実践しているのが、介護福祉士でありモデルでもある上条百里奈さんです。「かわいすぎる介護福祉士」として注目を集める彼女ですが、その活動の根底にあるのは、介護業界への深い愛情と使命感でした。

中学生から始まった介護との出会い

上条さんが介護の世界に触れたのは中学2年生の時で、ボランティア活動がきっかけでした。もともと医療の世界を目指していた彼女ですが、職業体験で訪れた介護老人保健施設での経験が人生を大きく変えることになります。

高齢者との触れ合いの中で、彼女は人生の先輩たちの温かさや深い人間性に心を打たれました。それから14年以上、介護の現場に携わり続けています。高校では総合学科で介護福祉を学び、ホームヘルパー2級を取得。その後、白梅学園短期大学福祉援助科に進学し、卒業と同時に介護福祉士の資格を取得しました。

予期せぬモデルデビュー|情報発信への想い

22歳の時、東京で開催された日本介護福祉学会の帰り道、新宿駅のロッカーで荷物を取り出している際にスカウトされたのがモデルデビューのきっかけでした。学会では多くの研究者が素晴らしい発表をしていましたが、理想と現場のギャップに歯がゆさを感じていた上条さん。

「モデルになれば、若い人たちが介護に興味を持つきっかけになるかもしれない」。そんな想いから、両親の反対を押し切ってモデルの道へ踏み出します。若い世代は介護という重い話題を避けがちですが、モデルがメディアを通じて発信すると耳を傾けてくれるという発見が、彼女の背中を押しました。

東京ランウェイ、神戸コレクション、表参道コレクションなど、数々のファッションイベントに出演。1万人を超える観客の前でランウェイを歩くという華やかな経験も積んでいきます。

「自分らしさ」を求めて介護現場へ帰還

モデルとして順調にキャリアを積んでいた上条さんですが、1年ほどで大きな転機を迎えます。モデル業界に馴染めず、一番大切にしていた介護に関われる時間が奪われることに苦しさを感じ、24歳の時に東京の特別養護老人ホームに勤め始めました。

「私が私らしくいられる場所は、おじいちゃん、おばあちゃんのいるところ」。その確信が、彼女を介護の現場へと引き戻しました。特別養護老人ホームと訪問介護の仕事を掛け持ちし、休日も現場に出て経験を積む日々を送り、モデルとして離れていた期間の遅れを取り戻そうと必死に働きました。

二刀流だからこそ見えてきたもの

現在の上条さんは、月の半分は介護現場で働きながら、モデル活動も継続し、講演会やメディア出演を通じて介護の魅力を発信しています。一見相反するように見える二つの仕事ですが、彼女にとってはどちらも欠かせない存在です。

モデルの仕事を通じてアパレル、スポーツ、航空会社など様々な業界に触れることで視野が広がり、それが介護の仕事にも活きています。高齢者一人ひとりが歩んできた人生、職業、家族構成、好みといった背景を深く理解し、対応していく力が養われたのです。

介護現場にいることの重要性も強く認識しています。情報発信をするためには介護現場にいなければならず、現場の実情をしっかり知っておく必要があると語る上条さん。現在は2つの事業所で介護福祉士として働き、小規模多機能型居宅介護を中心に、利用者やそのご家族との関係性を大切にしています。

講演活動と研究者としての顔

25歳を過ぎた頃から、モデルと介護福祉士という異色の経歴が注目され、活動の幅はさらに広がりました。講演会の講師、テレビドラマの介護シーン監修、情報番組のコメンテーター、白梅学園大学の非常勤講師など、多方面で活躍しています。

2018年からは東京大学未来ビジョン研究センターで、介護職の労働環境についての調査研究にも携わるなど、研究者としての顔も持ち合わせています。現場での実践と学術的な視点を融合させながら、介護業界の課題に多角的にアプローチしているのです。

初めて地元の長野で講演した際には、両親が会場に足を運んでくれました。両親から「専門家よりもあなたの方が伝わった」と言われ、自分の仕事を認めてもらえたと実感しました。かつては反対されていた道が、今では両親もファッションショーに招待するほど応援してくれる存在になっています。

介護職を続ける本当の理由

なぜモデルとして成功しながらも、介護の現場に立ち続けるのか。上条さんは「人生のクライマックスがすごく幸せな社会ってすごくいい。自分の将来が明るいとわかったら希望を持って生きていける。だから老後を充実させてあげたい」と笑顔で語ります。

介護という仕事は、人の人生の最終章に寄り添う尊い仕事です。認知症が進んだ妻を見ても「生まれ変わってももう一度一緒になりたい」と語る夫の姿。そんな現場でしか出会えない人生の真実が、上条さんを介護の世界に引き留めているのです。

バランスを保つ秘訣とこれから

現在は介護の仕事が中心となり、モデル業が良いリフレッシュになっているという上条さん。休日には髪をセットしたり、メイクを楽しんだり、散歩をしたり、大食い動画や可愛い犬の映像でパワーをチャージしています。

介護現場で心を一定に保つのは簡単ではありません。だからこそ、全く異なる世界に身を置くことで、新鮮な気持ちを保ち続けられるのかもしれません。

上条百里奈さんの生き方は、一つの職業に縛られない新しいキャリアの形を示しています。「介護のイメージを変えたい」という強い想いを軸に、モデルという華やかな世界と、介護という奥深い世界を自由に行き来する。その姿は、介護業界に新しい風を吹き込み、若い世代に「介護もかっこいい」というメッセージを届け続けています。

彼女の挑戦は、職業の枠を超えて自分らしく生きることの大切さ、そして本当にやりたいことを貫く勇気の尊さを私たちに教えてくれているのです。

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