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自転車違反で車の免停347件の衝撃|知られざる「危険性帯有」の現実

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社会
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自転車の違反なのに車の免許が停止?大阪で起きている異例の事態

「自転車で違反したのに、なぜ車の免許が停止になるのか」——。そんな驚きの声が、いま大阪府内で相次いでいる。2025年1月から9月の9カ月間で、自転車での悪質な交通違反を理由に車の運転免許停止処分を受けた人が347件に達したことが大阪府警への取材で明らかになった。わずか数年前まで年間数件程度だった処分が、なぜここまで激増したのか。その背景には、見過ごされてきた自転車マナーの実態と、法制度の厳格化という時代の流れがある。

道路交通法の「危険性帯有」とは何か

多くのドライバーは、免許停止処分といえば「違反点数の累積」によるものだと理解している。だが道路交通法には、実際に車で事故や違反をしていなくても免停にできる「危険性帯有」という規定が存在する。これは「著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」に最長180日間、免許を停止できるというものだ。

従来この規定は、違法薬物使用者への処分が典型例だった。しかし近年、自転車での飲酒運転やひき逃げといった悪質な運転にも適用されるケースが増えている。警察幹部は「自転車で規範意識があまりに低い人は、車を運転中にも交通違反による重大な事故を起こすおそれがある」と指摘する。つまり、自転車での行動が「この人物に車を運転させるのは危険」と判断される材料になっているのだ。

法改正が引き金に|2024年11月からの厳罰化

処分件数が急増した直接的な契機は、2024年11月に施行された改正道路交通法だ。この改正により、自転車の携帯電話使用(ながら運転)と酒気帯び運転に罰則が新設された。

大阪府警のデータを見ると、その影響は一目瞭然だ。2023年1年間の危険性帯有適用は19件に過ぎなかったが、そのうち17件は法改正直前の11月・12月の2カ月に集中している。そして2024年11月から2025年1月の3カ月だけで、自転車の飲酒運転の摘発は138件に達した。つまり、取り締まりの本格化とともに、免停処分も激増したのである。

知らなかったでは済まされない|2026年には青切符も導入

自転車を取り巻く法環境は、今後さらに厳しくなる。2026年4月からは、自転車にも交通反則通告制度(いわゆる青切符)が適用される予定だ。これまで自転車の違反は、検挙されれば即刑事罰の対象となる「赤切符」しか存在しなかった。しかし青切符の導入により、信号無視は5,000円から6,000円程度、一時不停止は5,000円といった反則金を支払うことで刑事手続きを回避できるようになる。

一見すると処分が軽くなったように見えるが、実態は逆だ。これまで警察が躊躇していた軽微な違反も、青切符なら容易に取り締まれるようになる。2024年には約133万件の指導警告票が交付され、検挙数は約5万2,000件に上った。青切符制度が始まれば、この数字はさらに跳ね上がるだろう。

国民の反応は|不満と理解が交錯する現場

「車の違反はしていないのに、なぜ免停になるのか」——大阪府警には、そんな問い合わせが相次いでいるという。担当者は道路交通法の規定を丁寧に説明しているが、納得できない人も少なくない。

インターネット上の反応を見ると、意見は大きく二つに分かれている。「自転車の飲酒運転で自動車を運転できなくなるのはお門違い」「免許を持っている人だけが行政処分を受けるのは不公平」といった批判的な声がある一方で、「むしろ当然」「危険な運転をする人から免許を取り上げるのは正しい」という肯定的な意見も目立つ。

自転車活用推進研究会の小林成基氏は「免許の有無ではなく、車輪がついた乗り物に乗る場合には十分にそのリスクを認識し、交通ルールを守る。それが徹底されていれば、車歩道の安全は保たれるはずです」と述べている。自転車も道路交通法上は「車両」であり、事故相手を死傷させるリスクがあることに変わりはない。その認識がまだ社会に浸透していないことが、混乱の背景にあるといえる。

自転車利用者は減るのか|移動手段の変化と社会的影響

厳罰化により、自転車を敬遠する人が増えるのではないかという懸念もある。特に通勤・通学で自転車を日常的に使う人々にとって、罰則強化は大きなプレッシャーだ。反則金5,000円から12,000円という金額は、学生や低所得者にとって決して軽い負担ではない。

しかし統計を見る限り、自転車利用そのものが減少する兆しは見られない。むしろ環境意識の高まりや健康志向の広がりから、自転車は引き続き重要な移動手段として位置づけられている。問題は利用者数ではなく、利用者の意識とマナーだ。

警察庁の統計によれば、自転車関連事故は2024年に約7万2,000件発生し、全交通事故に占める割合は2017年以降増加傾向にある。自転車乗用中の死亡者数は327人で、45歳以上と60歳以上で顕著に増加している。こうした深刻な状況を踏まえれば、厳罰化は必然的な流れといえる。

免許保持者への影響|仕事を失うリスクも

特に深刻なのは、車の運転を業務とする人々への影響だ。タクシー運転手、配送ドライバー、営業職など、運転免許が収入に直結する職業に就いている人にとって、180日の免停は死活問題となる。

ある交通事故専門の弁護士は「自転車の酒気帯び運転で免停になるケースは、今後確実に増えるでしょう。特に飲酒後に『少しの距離だから』と軽い気持ちで自転車に乗ってしまう行為が、キャリアを失うきっかけになりかねません」と警鐘を鳴らす。

実際、自転車での飲酒運転は「車ではないから大丈夫」という誤った認識のもとで行われることが多い。しかし道路交通法上、自転車の酒酔い運転は5年以下の懲役または100万円以下の罰金、酒気帯び運転も処罰の対象となる重大な犯罪だ。

今すぐ知っておくべき自転車の交通ルール

では具体的に、どのような行為が危険とされるのか。青切符の対象となる主な違反行為を挙げると:

  • 信号無視(反則金6,000円)
  • 一時不停止(反則金5,000円)
  • 右側通行など通行区分違反(反則金6,000円)
  • 携帯電話使用のながら運転(反則金12,000円、事故を起こせば最大30万円の罰金)
  • 傘をさしたりイヤホンをつけたりしながらの運転(反則金5,000円)
  • 酒気帯び運転(赤切符、免停の対象)

意外と知られていないのが「自転車は原則車道の左側通行」というルールだ。歩道を走れるのは「歩道通行可」の標識がある場合や、13歳未満の子供、70歳以上の高齢者、身体の不自由な方など限定的なケースのみ。歩道を通行する際も、歩行者優先で徐行(時速8~10km程度)しなければならない。

変わりゆく自転車社会|私たちはどう向き合うべきか

大阪で起きている347件という数字は、決して対岸の火事ではない。全国的に自転車への取り締まりは強化されており、他の都道府県でも同様の動きが広がる可能性は高い。

重要なのは、法律が厳しくなったから仕方なく従うという姿勢ではなく、自転車が「車両」であり、時に人の命を奪う危険性を持つ乗り物だという認識を持つことだ。2024年には大阪市で信号無視をした10歳児が自転車で乗用車と衝突し、自転車側の過失が100%と認定される事故も発生している。子どもでも加害者となりうるのが自転車なのだ。

免許の有無にかかわらず、すべての自転車利用者が交通ルールを守る。それが実現すれば、厳罰化も免停処分も必要なくなる。今回の347件という数字は、私たちに突きつけられた警告なのかもしれない。自転車に乗るすべての人が、明日からでも意識を変える——その小さな積み重ねが、安全な道路環境を作る第一歩となるはずだ。

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