年収600万円では足りない理由と4人家族の家計簿から見える共働き必須の現実

「年収600万円あれば中流階級」そんな時代は終わった。妻と子供2人の4人家族を養う多くのサラリーマンが直面している現実は、決して悠裕とは程遠い。

むしろ毎月の家計管理に四苦八苦し、貯蓄できない家庭がほとんどだ。なぜ年収600万円という一見恵まれた収入でも、1馬力では生活が厳しいのか。

その真実に迫る。

年収600万円の手取りはいくら？衝撃の手取り額

まず押さえておきたいのが、年収600万円の実際の手取り額。給与から所得税、住民税、社会保険料などが天引きされ、実際に手にできるのは年間約450万円程度。月額にすると約37～38万円である。ここから住宅ローンや家賃、光熱費、食費、教育費が次々と消えていく。

4人家族の平均的な月間支出を見ると、その重さが明確になる。

住宅費：10～15万円 家の賃貸・ローン返済はこれが基本。35年ローンで3,500万円の家を購入した場合、月々12万円程度の返済が一般的だ。

食費：5～7万円 子供の成長に伴い食べる量は増える。栄養バランスを考慮すれば、月6万円は必要最低限。

光熱費・水道代：2～3万円 子供が増えれば当然増加。季節変動も大きい。

教育費：3～5万円 保育料や学習塾代、習い事。公立でも年間15～20万円程度必要だ。

交通費・通信費：2～4万円 スマートフォン、ガソリン代

日用品・被服費：2～3万円 成長期の子供の衣類交換は予想以上にコストがかかる。

その他（医療、冠婚葬祭など）：2～3万円

合計すると月間支出は26～40万円。手取り37万円では、貯蓄どころか赤字月も珍しくない。

1. 突然の失業・減給への対応不能 ボーナスカット、リストラ、病気による休職。主世帯収入源が一つだけでは、予期しない事態に家族が崩壊する。貯蓄がない家庭では1ヶ月の失職でも深刻。

2. 教育費の急増に対応不可 子供が高校・大学進学時には年100万円以上の追加費用が必要。1馬力では十分な教育機会を与えられず、親として葛藤することになる。

3. 社会保障の不安定性 公的年金だけで老後生活は困難。子供の進学費用と親の介護費用が重なる「ダブルケア」の時代に、1馬力では対応できない。

妻がパートやパート・アルバイトで月5～10万円稼ぐだけで、家計は劇的に改善する。月42～48万円の収入があれば、貯蓄や突発的な支出に対応でき、子供の教育機会も大幅に広がる。

働く側も経済的自立、キャリア形成、社会との繋がりを得られる。1馬力に頼らない家計構造こそが、現代家族の安定の鍵だ。

年収600万円という一見堅実な収入も、現代の日本で4人家族を養うには心許ない。物価上昇、教育費高騰、少子高齢化による社会保障の縮小を背景に、1馬力での生活維持は限界を迎えている。

重要なのは「家計の多角化」。複数の収入源を持つことで、家族は初めて経済的余裕と心の余裕を取り戻せる。年収600万円の壁に直面している家庭こそ、その先の選択肢を真剣に検討すべき時代なのだ。