憲政史上初、女性総理大臣が誕生
2025年10月21日、日本の政治史において画期的な出来事が起きた。自民党の高市早苗総裁が衆参両院の本会議で第104代首相に指名され、憲政史上初めての女性首相が誕生したのである。64歳での就任となった高市氏は、衆院での首相指名選挙で237票を獲得し、過半数の233議席を上回る支持を得て、新たな時代の幕開けを告げることとなった。
この歴史的瞬間は、多くの国民の注目を集めている。高市氏が選出された瞬間、自民党席から「おおー!」という大きな声と拍手が起き、高市氏自身も目を閉じて喜びをかみしめるような様子が見られた。
複雑に交錯する国民の反応
高市氏の首相就任に対する国民の反応は、一様ではない。世論調査の結果を見ると、興味深い傾向が浮かび上がってくる。
共同通信が10月4日から6日に実施した世論調査では、高市氏が首相に就けば史上初となる女性首相の誕生について「望ましい」が「どちらかといえば」を合わせて86.5%という高い数字を記録した。これは、日本社会において女性リーダーの登場を歓迎する雰囲気が確実に存在することを示している。
一方で、高市内閣の支持率は43%にとどまり、公明党連立離脱後の10日に実施された各社の世論調査では、高市氏が首相になった場合の支持率が40-50%ほどという結果となっている。女性首相の誕生自体への期待感と、高市氏個人への評価の間には、微妙な温度差が存在しているのが実情。
SNSでは多様な意見が飛び交っている。自民党が数合わせのために参政党やNHK党にまで接近する姿に「節操がないを通り越して、気持ち悪い」「いよいよ自民は終わった」といった批判的な声が上がる一方で、保守層からは強い支持の声も寄せられている。
海外からの注目と評価
AFP通信は、高市氏を国防と経済安全保障に重点を置いた強硬な指導者と位置づけ、日本初の女性総理大臣に就任する見込みと報じた。国際社会からも、日本の新しいリーダーに対する関心が高まっている。
中国では、国営中央テレビや人民日報系の環球時報などが「史上初の女性首相になる見込み」と伝え、新華社通信は高市氏を「日本の右翼政治家を代表する一人」と紹介した。中国版Xのウェイボーや検索サイト大手の百度などのSNSの注目ランキングではこのニュースが軒並み1位となり、中国国内でも大きな話題となっている。
「日本版鉄の女」の実像
高市氏は「鉄の女」と呼ばれたサッチャー元英首相を敬愛しており、積極財政と伝統的な国家観を重視する姿勢で知られている。非世襲の経歴を持つ高市氏は、神戸大学経営学部を卒業後、政治の道を歩んできた。
興味深いのは、大学時代にはバイクに乗り、ヘビーメタルバンドでドラムを担当し、ブラック・サバスやアイアン・メイデン、ディープ・パープルのファンで、今でも夫との口論の後に自宅の電子ドラムをたたくことがあるというエピソードだ。強硬な政治姿勢とは対照的な意外な一面が、人間味あふれる人物像を形成している。
総裁選出直後のあいさつでは「全員に馬車馬のように働いていただく。自身もワークライフバランスという言葉を捨てる。働いて働いて働いて働いて、働いて、参ります」と意気込みを語った姿は、彼女の仕事への献身性を象徴するものとなっている。
待ち受ける課題と政権基盤
維新は閣僚を送り込まない「閣外協力」の形で与党入りし、公明党の連立離脱で危ぶまれていた高市氏の政権運営は一定程度、安定基盤を確保した。
しかし、政権発足直後から課題は山積している。
高市首相は初閣議で物価高対策を指示し、26日から東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席するためマレーシアを訪問、帰国後には来日するトランプ米大統領と会談、月末には韓国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と、外交日程も立て続けに控えている。
経済政策においても注目が集まる。市場では日銀の金融政策をめぐる首相の姿勢に注目が集まっており、高市首相は「日銀と連携を密にし、意思疎通を図っていく」と述べ、政府と日銀が2013年にまとめた共同声明については「今の段階で直ちに見直すことは考えていない」と慎重な姿勢を示している。
世代・層別に見る反応の違い
時事通信の世論調査では、高市内閣が若年層や保守層から特に期待を集めていることが明らかになっている。これは、高市氏の政策が特定の層に強く訴求していることを示唆している。
一方で、保守色の強い政策は批判の対象にもなっている。高市氏は選択的夫婦別姓の導入に反対するなどジェンダー平等を推進する立場とは一線を画しており、専門家は高市氏がフェミニズム的な選択肢であるわけではないと分析している。女性首相の誕生という歴史的出来事と、政策面での保守性という対照的な要素が、国民の評価を複雑なものにしている。
新内閣の構成と今後の展望
高市内閣の顔ぶれも注目を集めている。総裁選でライバルだった有力政治家たちを要職に配置する人事は、党内融和を図る一方で、政権の求心力維持という課題も抱えている。
高市首相は就任会見で「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」と強調し、同志国やグローバルサウス(新興・途上国)との協力拡大も進める姿勢を示した。外交・安全保障における強硬姿勢は、高市政権の大きな特徴となりそうだ。
期待と不安が交錯する船出
高市早苗氏の第104代首相就任は、日本の民主主義の歴史において間違いなく画期的な出来事である。女性首相の誕生自体を歓迎する声は多い一方で、政権への支持率は必ずしも高くない。この温度差は、日本社会が抱える複雑な心理を反映している。
物価高対策、外交課題、そして政権基盤の安定化。課題は山積しているが、高市氏は「異次元の柔軟性を持って、それでも国家国民のためになることであれば、前に進めていく」と述べている。この言葉通り、柔軟かつ力強いリーダーシップを発揮できるか。日本初の女性総理大臣の手腕が、これから問われることになる。
国民の反応は多様であり、支持・不支持の両面が存在する。しかし、この歴史的瞬間を経験していることは確かだ。高市政権が日本にどのような変化をもたらすのか、今後の動向から目が離せない。


コメント