メイプル超合金・安藤なつ ~幼少期の出会いが人生を決めた~
お笑いコンビ「メイプル超合金」の安藤なつは、介護現場歴20年という異例の経歴を持つ芸能人。2023年に介護福祉士の資格を取得し、現在も芸能活動と並行して介護の仕事を続けている。
安藤なつが介護に出会ったのは小学生の時でした。伯父の家が介護施設を運営していたことで、幼少期から介護が身近にあり 、親戚が始めたデイサービスセンターに遊びに行った小学生の時が最初のきっかけ。その後、中学に上がると同時に週末の泊まりがけでのサポートボランティアをスタート し、20歳以降は資格も取り、一晩で15~20軒の家を回っておむつ替えなどをする巡回介護を行っていたという徹底ぶり。
驚くべきことに、「メイプル超合金」の名を世間に知らしめたM-1グランプリの前夜にも、夜勤をしていたという筋金入りの介護士で、芸人としての成功と介護の仕事を両立させています。
安藤なつは介護について「介護は、直接触れ合うことで得られるものがある」「介護の楽しさや魅力を発信できたら」と語り、2024年にはコミックエッセイ「介護現場歴20年」を出版しています。
レギュラー ~ブレイク後の転機から新たな道へ~

「あるある探検隊」で2004年にブレイクしたお笑いコンビ・レギュラーも、介護の世界で活躍している芸能人です。2014年には介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を取得。さらにレクリエーション介護士2級の資格も取得している。
最初に介護業界に関心を持ったのは、松本の方。
2008年ごろのレギュラーがブレイクしていた時期に次長課長の河本と施設を慰問するボランティア活動に参加したことがきっかけとなった。ブレイク後、人気の波が去り仕事減った時に介護職員初任者研修(旧ヘルパー 2級)、レクリエーション介護士の資格を取得。現在は介護関係の講演やイベント活動、レギュラーのネタを活用したレクリエーションを紹介している。
2019年、介護の体験をつづった書籍『レギュラーの介護のこと知ってはります?』を出版 し、お笑いと介護を融合させた独自の活動を展開しています。
森山愛子:演歌歌手の隠された素顔

演歌歌手として活動する森山愛子には、多くの人が知らない一面がある。彼女は介護福祉士とホームヘルパー1級の資格を持つ、介護のプロフェッショナル。
この資格取得の背景には、栃木県立塩谷高等学校の社会福祉科での学びがあった。同校では卒業の条件としてホームヘルパー1級の取得が義務付けられており、森山は在学中にこの資格を取得。その後、介護福祉士国家試験にも合格し、上位資格である介護福祉士の資格も手にした。
「森や山など自然を愛す子」という意味を込めて、アントニオ猪木から命名された芸名を持つ森山。演歌の世界で活躍する傍ら、介護の知識と技術を身につけた彼女の姿は、芸能界と福祉の世界を結ぶ架け橋のような存在といえる。
高校時代から介護の専門教育を受け、資格を取得した経験は、彼女の人間性の深さを物語っている。演歌歌手として人の心に響く歌声を届けながら、同時に高齢者や障がい者の支援ができる知識と技術を持つという、まさに二刀流の才能の持ち主である。
サンドウィッチマン伊達みきお:介護現場への深い理解

お笑いコンビ・サンドウィッチマンの伊達みきおと介護との関わりは、彼のラジオでの発言で知られた。
伊達が芸人になる前に福祉用具販売員として介護施設に出入りしていた。伊達の仕事は福祉用具を販売するだけでなく、車椅子のパンクを直したり、ベッドを修理したりと、施設の中で仕事をすることも多かったので介護施設の入居者とは顔見知りになり、仕事は楽しかったそうです。
しかし、お笑いの道に進むために福祉用具販売の会社を辞めることに。そのとき福祉用具販売の社長から「お笑いも人を笑わせて幸せにする仕事で、広い意味で福祉だよ」って送り出してもらったことは芸人になってからも大切にしている。
サンドウィッチマンのラジオで、あるリスナーからの相談で、23歳の若者が前職で3年間介護職として働いていたが、転職先で求人広告に「介護職経験者は給与25万円〜」と記載されていたにも関わらず、実際の支給額は15万5000円だったという話があった。10万円もの差額に対して、伊達は驚きと同時に介護現場の厳しい現実への理解を示した。
この出来事を通じて、伊達は介護業界が抱える給与格差や労働条件の問題について、自身のラジオという影響力のあるメディアを通じて言及。介護職の価値と、それに見合わない待遇の現実を多くの人に知ってもらうきっかけを作った。
東北出身で、特に福島の復興支援に力を入れている伊達らしく、社会の問題に対して真摯に向き合う姿勢は、介護業界への理解と支援にもつながっている。彼のような影響力のある芸能人が介護現場の現実について語ることで、業界全体の待遇改善への議論が活発になることが期待される。
岩佐真悠子:芸能界から介護職への華麗な転身

最も劇的な転身を遂げたのが、元タレントの岩佐真悠子。「ミスマガジン2003」でグランプリを獲得し、『Deep Love〜アユの物語〜』では主役の浜崎あゆみ役を演じている。その後も『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』『ギャルサー』『メイちゃんの執事』などの人気ドラマで活躍した彼女は、2020年に芸能界を引退し、介護職に転身した。
転身のきっかけは、コロナ禍での自問自答。「中卒の自分に何ができるんだろう」と考えた時、人の役に立つ仕事として介護を選択。多くの人から「本当にやっているのか」と疑問視されることもあったが、彼女は「本当にやってます」と笑顔で答え、週5日のフルタイム勤務で充実した生活を送っている。
介護現場での4年間を振り返る岩佐さんは、「特にやりがいを感じるのは入浴介助」だと語る。利用者さんとの深いコミュニケーションが生まれる瞬間であり、芸能界で培った表現力や人を楽しませる技術が活かされている場面でもある。
彼女は介護を「天職です」と断言し、アイドルや女優の経験が介護職に活かされると語る。人を笑顔にすること、相手の気持ちを察すること、表現力を使って楽しませることなど、芸能活動で身につけたスキルが介護現場で花開いている。
岩佐真悠子の転職は決して安易な判断ではなかった。猛勉強を重ねて介護の資格を取得し、現場で一から学び直した。最初は苦労も多かったが、芸能界での経験が意外な形で活かされることを実感している。
介護を選ぶ理由と社会的意義
芸能人が介護の道を選ぶ背景には、それぞれ異なるきっかけがあります。安藤なつの場合は幼少期からの自然な流れで、芸能界でお笑い芸人のお仕事をされる一方で介護関連のエンタメでも幅広い活躍を見せている 。介護系メディアでインタビューを受けるなど、介護福祉士としての経験を活かして介護現場のリアルと楽しさを世に伝えています。
レギューラーのように全国の介護施設でレクリエーションを披露したり、講演活動を通じて介護業界を盛り上げる活動を続け、森山愛子のように専門教育を受けて資格を取得する道、伊達みきおのように影響力を使って介護業界の問題を社会に伝える道、岩佐真由子のように人生の転機で全く新しいキャリアを築く道。
それぞれが共通しているのは人への深い愛情と社会貢献の意識です。介護は単なる肉体労働ではなく、人の人生に寄り添い、尊厳を支える専門的な仕事であることを、彼ら彼女らが示している。
特に岩佐真悠子の「中卒でも国家資格を取れるのは魅力的」という言葉は、介護業界の持つ可能性を表している。学歴に関係なく、努力と情熱があれば年齢、学歴に関係なく専門性を身につけ、人の役に立つ仕事ができる。介護は現代社会において非常に価値のある仕事だといえる。
芸能人の介護に関する活動は、介護に対する社会の見方を変える重要な役割を果たしています。従来の「大変で辛い」というイメージから、「やりがいがあり、人との温かい触れ合いがある仕事」として介護を捉え直すきっかけを提供している。
彼らの存在は、介護業界の人手不足解消や、職業としての介護の地位向上にも貢献していると言えるでしょう。



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